アルスマグナ「Ever Yell」のコード進行解説と、楽曲の感想


本記事では、2016/9/21発売のアルスマグナの新曲「Ever Yell」のコード進行と、音楽的な解説、および楽曲を聴いた感想を記していきます。

「Ever Yell」の概要

「アルスマグナ」は「2.5次元アイドル」を称する男性6人組(設定上は男性5人+ぬいぐるみ)のユニットで、これまで発売した5作全てがオリコン10位以内に入る好調ぶり。特に、前作の「サンバDEわっしょい!」では、元演歌歌手の小林幸子扮する九瓏幸子とのコラボで話題を集めました。

今作は彼らの6作目のシングルで、そのMVはこれまでのシングルと同様に、実写(3次元)とアニメ映像(2次元)を交互に映し出す作りになっています。

「Ever Yell」のコード進行

●イントロ
|CM7|D|Em|Bm7|CM7|D|
|CM7|D|Em|G|
|CM7|D7 B/D#|Em|G|●Aメロ
|C|D/C|G/B|G/B|C|D|Em|G/B|
|C|D/C|G/B|G/B|C|D|Em|G/B|

●Bメロ
|C|D|Em|Bm|C|C|D|D|

●サビ
|D♭|E♭|Fm|Cm|D♭|E♭|Fm|A♭|
|D♭|E♭|Fm|Cm|D♭|E♭|Fm|A♭|

イントロ

ピアノの音色が主体となる伴奏から始まります。途中から電子系の打楽器やストリングスも混ざり、躍動感があるイントロがスタートします。嵐などのジャニーズ系が歌いそうなカッコいい系の曲調です。

コード進行はⅣ→Ⅴ→Ⅵm→Ⅲm(最後はⅠ/Ⅲかも)と進むパターンで、本曲ではほぼ全てのパートでこの進行が主体となります。イントロからBメロまでは、曲の調はG(Eマイナー)で、楽譜では#が1つだけある調性です。

Aメロ

イントロで使われた多くの楽器が鳴り止み、若干静かになったAメロがスタートします。あまり目立つ音ではないですが、シンセのギザギザ音が徐々に大きくなっている部分が好みです(特に良く聞こえるのが「♪信じれなくなった~」のあたりです。その後もあまり目立ちませんがずっとその音は鳴っています。)。こういうところに注目して楽曲を聴く人はあまりいないと思いますが、このような細かい音があることで、聴いている側は無意識のうちに曲の魅力に惹き込まれていくのではないかなと思います(あまりやりすぎると音がぐちゃぐちゃになってしまうので、適度に行うのがベストです)。

さて、Aメロでは分数コードの表記が多いですが、これは耳コピが微妙だったところが多いためです。2小節目のD/Cは合っていると思いますが、3小節目のG/Bと書いた部分は平凡にBmでも違和感がないような気がします。ただ、4小節目までBmだとコード進行的におかしいのですが、4小節目はG/Bのはずなのですが、かといって、コードの感触が変わっている部分が3小節目と4小節目の間に見つからなかったので、最初からG/Bというコードであると判定しました。構成音全てを完ぺきに耳コピできれば良いのですが、そこまでの音感は持っていないので、コードが若干間違っている可能性があるのはご了承ください。

Bメロ

リズムがゆっくりになって、いわゆる「PPPH」が盛り上がりそうな部分です。先ほど述べたシンセのギザギザ音も最後の方で少しだけ復活してますね。

コード進行はC→Dとドミナントで終わっているため、この進行でBメロが終わる場合、サビの最初はEm,C,Gのどれかが来ることが多いのですが…。

サビ

Bメロの最後から一瞬音が止み、転調してサビに入ります。調はA♭メジャーで、元のGメジャーから半音だけ上のキーです。ラスサビを盛り上げる部分で、このような転調を行う楽曲は多くありますが、Bメロからサビに至る箇所でこのパターンの転調を使う楽曲は比較的少ないのではないかと思います。

音楽理論的には関連性が薄いキーへの転調であり(共通で使われるコードがほとんどない、という意味です)、転調のための誘導部分となるコード進行も存在しないため、サビの最初で突然調性が変わったような感覚を得ます。このような転調をすることにより、サビ自体のメロディーのインパクトに加えて、前の部分から突然曲調が変わったというインパクトも得ることができます。

本曲のように、それが「インパクト」になればいいのですが、下手なアレンジをすると「単なる違和感」になってしまうので、その辺の調性が難しいところです。おそらくですが、サビの手前で一瞬無音になる部分のおかげで、直前のハーモニーとの連続性が断ち切られ、新しいコード進行が始まってもそれほど違和感が出ないようになっているのではないかと思います。(素人の適当な推測です)

サビの進行はこれまでも出てきたⅣ→Ⅴ→Ⅵmです。転調が用いられなかった場合、イントロ、Aメロ、Bメロと同じで「代わり映えがしない」という印象を持たれてしまうかもしれないので、本曲の特殊な転調は大変効果的なのではないかと思います。

ヴォーカルの最高音は「♪はじまるの」という部分で使われている「ソ」ですが、他の部分は「ミ♭」が最高音であるため、最後さえがんばれば、キーの低い男性でも原曲キーで歌いこなせるのではないでしょうか。

サビの後はイントロと同じコード進行が続くため、ここで調がGメジャーに戻っています。

サビの転調によるインパクトや、ヴォーカルのハーモニー、きめ細やかなシンセの音など、至るところで作曲、アレンジのテクニックを感じる1曲でした。最近売り上げ好調な彼らですが、本作もヒットするのではないかと思います。

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