RADWIMPS「なんでもないや」のコード進行解析、楽曲の感想


本記事では、映画「君の名は。」の挿入歌として使用されている、RADWIMPSの「なんでもないや」のコード譜を耳コピにより採譜し、楽曲の解説と感想を簡単に記していきます。

「なんでもないや」の概要

本曲は「君の名は。」のエンディングとして使用されているRADWIMPSの楽曲です。アカペラから始まり、1曲を通して非常に静かな構成で、歌詞とヴォーカルを強調した作りになっています。

同映画のサントラ「君の名は。」には、この曲のほかに、映画で使われたRADWIMPSの楽曲である「前前前世」「夢灯籠」「スパークル」も収録されております。

「なんでもないや」のコード進行

●Aメロ(アカペラ)

●イントロ
|D#m7|C#|B|F#|D#m7|C#|B|F#|
|D#m7|C#|B|F#|D#m7|C#|B|F#|

●Aメロ
|D#m7|C#|B|F#|D#m7|C#|B|F#|
|D#m7|C#|B|F#|D#m7|C#|B|F#|

●Bメロ
|F#/A#|B|C#|D#m|F#/A#|B|F#|F#|
|F#/A#|B|C#|D#m|G#m7|A#m B|
|F#|F#|F#|F#|

●サビ(1コーラス)
|B|C#|D#m|D#m|B|C#|F#|E Cm7-5|
|B|C#|D#m|D#m|B|C#|

●間奏1
|B|・C#・ D#m|D#m|・C#/F・ F#|
|F#|・F#/A#・ B|B|B|
|B|・C#・ D#m|D#m|・C#/F・ F#|
|F#|・G#m・ B|B|B|

●Aメロ(2コーラス)
|D#m7|C#|B|F#|D#m7|A#m7|B|F#|
|D#m7|C#|B|F#|D#m7|A#m7|B|F#|
|D#m7|C#|B|F#|
|D#m7|C#|B|F#|D#m7|A#m7|B|F#|
|D#m7|C#|B|F#|D#m7|A#m7|B|F#|

※Bメロ繰り返し

●サビ(2コーラス)
|B|C#|D#m|D#m|B|C#|E|F#|
|G#sus4|G#sus4|G#|G#|

●Cメロ
|G♭|Fm|E♭m|D♭|G♭|Fm|E♭m|D♭|
|G♭|Fm|E♭m|D♭|G♭|Fm|E♭m|E♭m|
|A♭|A♭|

●間奏2
|G♭|・A♭・B♭m|B♭m|・A♭/C・D♭|
|D♭|・Fm・G♭|G♭|G♭|
|G♭|・A♭・B♭m|B♭m|・A♭/C・D♭|
|D♭|・E♭m・G♭|G♭|G♭|
|B|C#|

●ラスサビ
|B|C#|D#m|D#m|B|C#|F#|E Cm7-5|
|B|C#|D#m|D#m|B|(N.C.)|
|C|D|Em|Em|C|D|G|F C#m7-5|
|C|D|Em|Em|C|D|G|F C#m7-5|
|C|D|Em|Em|C|D|

●後奏
|C|・D・Em|Em|・D/F#・G|
|G|・Am G/B C|C|

解説、感想

Aメロ

まずAメロのアカペラから入り、ギターのアルペジオによる短いイントロが流れた後、今度は伴奏入りのAメロが流れる構成になります。

キーはF#(G♭)またはD#m(E♭m)で、臨時調号を一番多く使う調です。したがって、ピアノだと黒鍵盤だらけで、ギターでも難しいコードだらけです。ギターの場合はカポ+4か、チューニングを-1にして1つ上のコードを弾くのがいいと思います。ただし、ラスサビで半音上がるので、その時のことも考えておかないとまずいですが…。

コード進行はⅥm7→Ⅴ→Ⅳ→Ⅰと進むパターンで、カッコいい系や暗めの楽曲に多い進行ですが、Ⅵm7のセブンスの音があることにより、Ⅰ→Ⅴの響きが混ざることで、暗さが緩和されているような印象を受けます。

Bメロ

Bメロもギターのアルペジオがメインの伴奏です。コード進行は、最初の4小節がルート音が徐々に上がるテクニックが使われています。サビ手前はいったんトニックのG♭を長く続けることで、コード進行を完結させています。

サビ直前でコードを完結させてしまうのは、盛り上がらなくて損なのでは?と思われる方はいらっしゃるかもしれませんが、それはサビがトニックから始まる場合であり、本曲のようにサブドミナントから始まる場合は、その直前がトニックであることは普通によくあることです。トニックはそれ自身が完結感を持っていますが、サブドミナントを導くという働きもあるのです。

サビ

サビはⅣ→Ⅴ→Ⅵmという、いわゆる456パターン。多くの使用例があるコード進行です。歌詞では2小節目と4小節目で韻を踏んでいますね。

コード進行で注目すべきところは、8小節目のⅦ♭→Ⅳ#m7-5(E→Cm7-5)でしょう。最初耳コピした時はすぐに何のコードが鳴ってるか判別できないほど、聴きなれないコード進行だと思います。2つの非ダイアトニックコードが連続して続き、しかも互いに関連の薄いコードどうしであるため、この部分はかなり強いインパクトを持ちます。

ここまでずっとダイアトニックの平凡なコード進行で来ており、楽曲もゆったりとした曲調であったため、楽曲における一番の見せ場と言えるかもしれません。ヴォーカルの旋律でも、ここで最高音の「ラ#」が使われています(ラスサビで転調するため楽曲で一番高い音は「シ」)。

2コーラス

2コーラスのAメロは、1コーラスとアレンジも違いますが、6小節目のコードも違うなど、細かいところで色々相違点があります。また、1コーラスでは2フレーズの後Bメロに移行していたのですが、2コーラスでは2フレーズ→間奏→2フレーズという構成になっており、1コーラスよりも2コーラスの方がAメロが長い、というのは比較的珍しいのではないかと思います(逆なら普通ですが)。

また、サビの終了と同時に、Ⅱsus4→Ⅱ(G#sus4→G#)という珍しいコードが使われます。この部分だけだと、このコードが登場した意図や、この部分の調性が良く分からないのですが、次のCメロを聴くことにより、転調のための導入部分であったことが判明するようになっています。

Cメロ

Cメロに入る時に転調が行われています。転調前はF#メジャーで、転調後がD♭なので、「属調」への転調という事になります(♭が1個減る、または#が1個増える転調)。この転調は非常に近い調性への転調であるため、注意していないと転調していること自体に気づかないこともあります。

サビの最後に出てきたG#sus4→G#というコードは、転調前の調においては、唐突に出てきて意味がわかりづらいコード進行だったのですが、転調後のD♭調においてはドミナントコードのⅤsus4→Ⅴにあたるため、強いドミナントモーションを出して転調を自然にするための導入部分であったことがわかります。このように、一見唐突に見えるコード進行が、実は転調のための布石になっているという事は、多くの楽曲で見られることです。

Cメロに続いて間奏が入りますが、ここのコードは1コーラスと2コーラスの間に出てきた間奏のコード進行と、キーが違うだけでほぼ同じ内容です。

最後のB→C#の部分は、先ほどの行った転調を、「元に戻す」ための導入部分です。この2コードはF#キーにおけるⅣ→Ⅴ進行にあたるため、この誘導部分が存在することで、F#キーへの誘導がとても自然にできるのです。

ラスサビ

上述したようにCメロから転調して入り、タイトルコールがあります。タイトル部分はこれまで出てきたサビの歌詞と母音が同じで、韻を踏んでいることがわかります。

後半では、半音上がる転調が行われます。ただでさえ高いキーなので、ヴォーカルにとっては非常に大変で、最後の頑張りどころです(笑)。

まとめ

RADWIMPSの「なんでもないや」のコード進行を耳コピ採譜しました。歌詞やヴォーカルを聴かせる楽曲であり、コード進行は平凡かと思いきや、珍しいコード進行や転調も多く、コードだけでも興味深い部分が多くある楽曲でした。映画のエンドロールとともに流れる楽曲とのことなので、映画の余韻に浸りながら聞かれた方も多いのではないかと思います。

映画で使われたRADの楽曲の中では、ヴォーカルのキーは一番高く、最もヴォーカルが重視される楽曲と思いますので、この曲を歌ってみたいという方は何度も練習して歌いこなせるように頑張ってください。

映画「君の名は。」に使用された、他の楽曲についても簡単な解説を行っていますので、興味があればご覧ください。

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