CHiCO with HoneyWorks「ウルフ」のコード進行解析、感想 16/9/18 フルコーラスで追記


本記事では、2016年9月14日発売のCHiCO with HoneyWorksのシングル、「カヌレとウルフ」の2曲め「ウルフ」について、コード進行を耳コピによって採譜したものを掲載し、楽曲の感想を述べます。

「ウルフ」の概要


本作はCHiCO with HoneyWorksの5作目のシングルで、1曲目に女性目線の「カヌレ」、2曲目に男性目線の「ウルフ」という楽曲が収録されています。

「カヌレ」の方は非常に明るくて可愛さをアピールしたような楽曲で、前回の記事でコード譜とともに紹介しました。

ChiCO with Honeyworks「カヌレ」のコード進行解析と感想
本記事では、2016年9月14日発売のChiCO with Honeyworksの両A面シングル「カヌレとウルフ」の1曲目「カヌレ」のコード...

今回紹介する「ウルフ」は、1曲目の「カヌレ」とは逆にカッコいい系であり、同じ人が歌ってるとは思えないほど異なるイメージの楽曲です。

こちらは公式動画がショートバージョンとなっておりますので、コード譜進行もその動画で確認できる箇所のみとなります。

2016/9/18フルコーラスに変更しました(ボカロ版を参考にしています)。

「ウルフ」のコード進行

出だしのAメロ

|C#m|A|B|E|E/G#|A|B|(N.C.)or E?|

本曲はいきなりヴォーカルから始まります。力強い歌い方であり、1曲目の「カヌレ」で見たような可愛い系の歌い方とは大きく異なります。同じ歌い手であるのにも関わらず、1つのCDの中にこれだけ異なる印象の楽曲が入るのは珍しいことだと思います。

コード進行はⅥm→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰという、いわゆる「小室進行」です。小室哲哉の楽曲で多いことからの命名ですが、最近ではVOCALOID楽曲でもこの進行が非常に多いことを以下の記事で紹介しています。

VOCALOID人気曲でよく使われたコード進行は? ~Part1(2011年以前)
当ブログでは様々なアーティストについて、楽曲のサビのコード進行でよく使われているパターンを集計しています。本日8/31が初音ミクの誕生日とい...

同アーティストにおいても、「アイのシナリオ」「プライド革命」「東京サマーセッション」のサビは、いずれもこの進行です。

続いて、5小節目にはⅠ/Ⅲ(E/G#)というコードが登場しています。このコードはその直前のⅠ(E)と構成音は全く同じなのですが、ベース音が異なることから、一瞬別のコードに変わったように聴こえます。

このように、トニックコードを、3度の音をベースとして奏でた分数コードは、1曲目の「カヌレ」でも見られました。楽器が手元にある方はぜひ弾いてみてほしいのですが、E→Eと連続で同じコードを弾くのと、E→E/G#と弾くのでは、印象が異なるかと思います。理論上は「同じコード」のはずなのですが、不思議ですね。個人的には、分数コードを使ったE/G#の部分は、「浮き上がっているような感覚」を受けます。逆に、分数コードを使わないEの場合は「地に着いているしっかりとした感覚」といったところでしょうか。

この辺の感じ方は個人的な差があると思いますので、何を言ってるのか意味不明と思われるかもしれません。皆様は分数コードを聴いた時どのような感覚を抱きますでしょうか?

なお、C#mから始まる小室進行であることから、キー(調)はC#マイナーであることがわかります。視聴できる範囲においては転調していません。ヴォーカルの最高音はド#の音です。

イントロ

|C#m|A|B|E|E/G#|A|B|E|

最後の小節を除けば、出だしと同じコード進行です。ヴォーカルの代わりにギターのソロが主旋律を奏でている部分です。Aメロが3回流れ、最初の1回と2回の間にこのイントロ(間奏と言った方が正しいかも?)が流れる構成になっています。

Aメロ

|C#m|A|B|E|E/G#|A|B|E|
|C#m|A|B|E|E/G#|A|B|E|

前半は、バスドラとギターの数本の弦だけによる少ない音で伴奏が奏でられ、後半でベースやその他の楽器が入り盛り上がってきます。コード進行はここまでに登場した「小室進行」と全く同じです。

Bメロ

|E/G#|A|B|C#m|E/G#|A|B|C#m|
|E/G#|A|B|(N.C.) or B|

Bメロは、この曲で唯一「小室進行」ではない部分です。先ほど「浮き上がっているような感覚」という表現をしたⅠ/Ⅲ(E/G#)からスタートし、ベース音がG#→A→B→C#mと少しずつ上昇する進行が繰り返されます。

最後の(N.C.) or Bと書いた部分は、実際に和音は聴こえないものの、前後の小節や、メロディーなどから、コードはBだと推測できるという意味です。他にもいくつか伴奏が止まる箇所があり、同様に推測のコードを書かせていただいています。

4小節目と8小節目では透き通った声でハモリが入っていまして、これらの部分は大変美しいと感じました。

サビ~間奏

|C#m|A|B|E|E/G#|A|B|E|
|C#m|A|B|E|E/G#|A|B|E|

※間奏|C#m|A|B|E|E/G#|A|B|E|

驚いたことに、サビもそのあとの間奏も、イントロやAメロと同じコード進行でした。それどころか、ショートバージョンで視聴できる範囲において使われたコードはC#m, A, B, Eの4種類だけです(分数コードを入れても5種)。(※2016/9/18追記 フルバージョンでも、この4種のみでした!)

いずれもダイアトニックなコードなので、コードによって楽曲の表情を大きく変化させるといったことはないのですが、リズム、アレンジやヴォーカルにメリハリがあるため、退屈な印象は全く受けません。

特殊なコードをいっぱい使ってインパクトを出す曲もこれまで今までたくさん紹介してきましたが、単純なコードだけでもこれだけキャッチーで素晴らしい楽曲を作れるという事を思い知らされます(前回紹介した「カヌレ」も5コードのみにもかかわらず、見事な楽曲になっていました)。

2コーラス以降

※Aメロ、Bメロ、サビ繰り返し

※間奏|C#m|A|B|E|E/G#|A|B|E|×2

※Cメロ
|E/G#|A|B|E|E/G#|A|B|C#m|
|E/G#|A|B|(N.C.) or B|

※ラスサビ
|C#m|A|B|E|E/G#|A|B|E|
|C#m|A|B|E|E/G#|A|B|E|
|C#m|A|B|E|
|(N.C.) or E/G#|A|(N.C.) or B|

※後奏
|C#m|A|B|E|E/G#|A|B|E|×2

2016/9/18 2コーラス以降のコード譜も追加しました。ショートバージョンとサビの長さが異なっていたので、サビの部分を一部修正しています。

まとめ

CHiCO with HoneyWorksの楽曲「ウルフ」についてコード進行の耳コピ採譜を行いました。実質的には4つしかコードを使わず、コード進行も全体を通してほぼ同じもパターンの繰り返しですが、1曲を通じてインパクトのある部分が多数あり、聴き手を退屈させません。

1曲目の「カヌレ」とは楽曲のイメージは正反対ですが、少ない種類のコードでもキャッチーでインパクトがあるという点では共通しており、どちらも本当に良い曲だと改めて思いました。

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