欅坂46 「二人セゾン」のコード進行解析と楽曲の感想


本記事では、2016/11/30発売の欅坂46の楽曲「二人セゾン」のコード譜と、音楽的な解説、および楽曲を聴いた感想を記していきます。

「二人セゾン」の概要

本曲は、今年CDデビューしたアイドルユニット欅坂46のサードシングルです。センターは前2作に引き続き、平手友梨奈が務めます。作詞は秋元康、作曲・編曲者は11/19時点では不明です。

「二人セゾン」のコード進行

●サビ
|D♭M7|E♭/D♭|Cm7|Fm|
|D♭M7|E♭/D♭|Cm7|Fm|
|B♭m7 Cm7|D♭|E♭sus4|E♭7|

●間奏1
|D♭M7|E♭|Cm7|Fm|
|D♭M7|E♭|Cm7|Fm|

●Aメロ
|A♭|E♭/G|Fm|Cm7|
|D♭|Cm|B♭m7|E♭sus4 E♭|
|A♭|E♭/G|E♭m/G♭|F7|
|B♭m7|Cm7|D♭|E♭|C7|

●Bメロ
|Fm|D♭M7|E♭|A♭ E♭/G|
|Fm|D♭M7|E♭|E♭ C7|

※サビ繰り返し

※間奏1繰り返し

※Aメロ~サビ繰り返し

●Cメロ
|D♭M7|D♭M7|E♭/D♭|E♭/D♭|
|Cm7|Cm7|Fm|Fm|
|B♭m7 Cm7|D♭|B♭m7 Cm7|D♭|
|C7|C7|
|Fm|D♭M7|E♭|A♭ C7|C7|C7|

●ラスサビ
|D♭M7|E♭/D♭|Cm7|Fm|
|D♭M7|E♭/D♭|Cm7|Fm|
|D♭M7|E♭/D♭|Cm7|Fm|
|D♭M7|E♭/D♭|Cm7|Fm|
|B♭m7 Cm7|D♭|E♭sus4|E♭7|

●後奏
|D♭M7|E♭|Cm7|Fm|
|D♭M7|E♭|Cm7|Fm|
|D♭M7|

本曲の調はFマイナー(またはA♭メジャー)で、楽譜だと♭の調号が3つ必要な調です。前2作が特徴的な転調を行っていたのと異なり、本作は転調は一度も使われていません。

サビから入りますが、コード進行の解説はAメロから行っていきたいと思います。Aメロの前半は、A♭(Ⅰ)→E♭(Ⅴ)→F(Ⅵ)m→C(Ⅲ)m7と進む「カノン進行」です。一方、後半はメロディーは似ていますがコード進行は、ノンダイアトニックコードを用いながらルート音を半音ずつ滑らかに下降するパターンで、前半とは変化を付けています。カノン進行ほどではありませんが非常に多く用いられるパターンです。

続いて、BメロはF(Ⅵ)m→D♭(Ⅳ)という「小室進行」です。Aメロが16ビートに近いリズムだったのに対して、Bメロでは8ビートを強調するようなリズムとメロディーになっています。「♪太陽が戻ってくる前に」という部分で使われているハモリがとても美しいですね。

ちなみに、AメロもBメロもラストはC(Ⅲ)というコードで終了していますが、これはマイナー調のコード進行を誘導する際に用いられることが多いコードで、全体的に切ない印象の楽曲に聞こえる要因の1つとして、このコードが主要な部分で多用されていることも挙げられると思います(当然それだけではないでしょうが)。

サビはD♭(Ⅳ)M7→E♭(Ⅴ)/D♭(Ⅳ)→C(Ⅲ)m→F(Ⅵ)mという典型的な「王道進行」です。したがって、本曲は、Aメロが「カノン進行」、Bメロが「小室進行」、サビ(Cメロもです)が「王道進行」と、「J-POPの三大コード進行」と呼ばれるコードのパターンが、それぞれのパートの先頭にすべて登場する、という事になります。更に言うと、欅坂46のシングルは、本作で3作目ですが、サビの先頭のコード進行のみに注目すると、「サイレントマジョリティー」は「小室進行」、「世界には愛しかない」は「カノン進行」で、本曲は「王道進行」なので、作品単位で見ても3大コードが1つずつ登場したことになります。

同じフレーズを連呼するキャッチーな楽曲で、「サイレントマジョリティー」のように節回しが細かい難しい楽曲に比べると、とても覚えやすく一般受けをしやすい楽曲だと思います。ただし、楽曲のキーは過去2作に比べて高く、音域も広いため(最高音は「ミ♭」、最低音は「ソ」、音域は1オクターブ+8音。コーラス部も含めれば最高音は「ファ」)、「歌いやすい」という意味ではありません。ラスサビの前のソロは平手のパートだと思うのですが、これまで低音のパートしか聞いたことがなかったので、平手のソロの高音域パートは新鮮な気分でした(シングル表題曲しか聴いたことがない者の感想です。他の楽曲で既に高音を披露しているのでしたらすいません)。

さて、タイトル「二人セゾン」についても少し。「セゾン」というとクレジットカードの会社を思い浮かべる方が多いかと思いますが、もちろんクレジットカードについて歌った曲ではありません。「セゾン」とはフランス語で「季節」の意味があります(英語では「シーズン」なので語感が非常によく似ていますね)ので、直訳すると「二人(の)季節」となるでしょうか。ただ、サビの歌詞を聴いてみると、「セゾン」という言葉は省略しても意味が通じる文章になっていることから、「二人セゾン」に大きな意味があるというよりは、響きの良さのために「セゾン」という語句が含まれているという感じなのかもしれません。

王道進行やⅢコード等が表現する切なげなコード進行、キャッチーなメロディー等、個人的な好みの要素が多い楽曲でした。乃木坂46や欅坂46ではこういった曲調の楽曲が多く、毎回新曲を楽しみにしています。

欅坂46の楽曲については、以下の記事でもコード進行を解説しております。

欅坂46「サイレントマジョリティー」「山手線」のコード進行解析
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