RADWIMPS「前前前世」のコード進行解説と、楽曲の感想 ※11/24 オリジナル版も追記


本記事では、大ヒット映画「君の名は。」に使用されているRADWIMPSの「前前前世」のコード譜を耳コピにより採譜し、楽曲の解説と感想を簡単に記していきます。

「前前前世」の概要

映画「君の名は。」は、新海誠監督によるアニメ映画で、公開初日から約100万人の動員を上げる大盛況ぶりを見せておりますが、大ヒットの要因として、RADWIMPの楽曲(「前前前世」「夢灯籠」「なんでもないや」「スパークル」)を挙げる声も多く見られます。

当ブログでは今回より4回にわたって、それらの楽曲のコード進行を順にみていきたいと思います。

「前前前世」のコード進行

●イントロ
|B E|E|B E|E|B E|E|B E|E|
|G#mE・F#|F#|G#mE・F#|F#|
|G#mE・F#|F#|E|E(add9)|

●Aメロ
|B|B|E|E|G#m|F#|E|E|
|B|B|E|E|G#m|F#|E|E|
|G#m|F#|E|E|

●Bメロ
|G#m|E|B|F#|G#m|E|B|F#|
|D#m|E|F#|G#m|C#/F|E|
|F#sus4|F#|F#sus4|F#|

●サビ
|G#m7|E|B|F#|G#m7|E|F#|F# B|
|G#m7|E|B|F#|G#m7|E|B|B|
|G#m7|F#/A#|B|B|

●間奏
|G#m E|F#|G#m E|F#|
|G#m E|F#|E B/D#|E B/D# E F#|

※Aメロ~サビ 繰り返し

●2コーラス後の間奏
|(N.C.)|×16

☆映画版のみ(ここから)
|G#m7|〃|F#/A#|B|B/D#|〃|F#|B|
|G#m7|〃|F#/A#|B|B/D#|B/D# E|F#|〃|
|G#m7|〃|B|B|E|E|E|E|
|F# G#m A|A|A|D|(N.C.)(2拍)|
☆映画版のみ(ここまで)

☆オリジナル版(ここから)
|G#m7|G#m7 F#/A#|B|B|B/D#|B/D#|E|E|
|B/D#|B/D#|E|E|G#m7|F#|E|E|
|G#m7|F#|E|E|E|E|(N.C.)(2拍)|
☆オリジナル版(ここまで)

※サビ繰り返し

●後奏
|G#m E|F#|G#m E|F#|
|G#m E|F#|E B/D#|F#|E(add9)|B|

解説、感想

本曲はキー(調)はBメジャーで、1曲を通して転調はしていません。MVを見る限り、ギターはカポを4フレット目に付けているように見えるので、表記したものから4半音下のコード(すなわちGメジャースケールのコード)を弾くと比較的簡単に弾けるでしょう。
カポを4フレットに付けてる関係で、全体的にギターが通常の曲よりも高音が多く聞こえ、明るさと軽さを感じる楽曲となっています。

イントロ

まずはイントロですが、1小節目で3:5のリズム、2小節目は全音符で、最初の8分音符3つ分の長さのみが1つ目のコードで、2つ目のコードがそれ以外、という珍しいリズムで入ります。コード進行そのものはⅠ→Ⅳと進むパターンで、非常に多くの楽曲に使われる明るいコード進行です。

Aメロ

Aメロは最初の16小節はギター2つのアルペジオと、ベースとヴォーカルのみのシンプルな構成で、最後の4小節のみディストーションが効いたストロークが入ります。コード進行はイントロと同じくⅠ→Ⅳから始まります。

Bメロ

BメロではⅥm→Ⅳといういわゆる「小室進行」という頻出のコード進行が使われています。これについてはサビのところで後述します。

9~12小節目では、ベース音がD#~G#まで徐々に上がって盛り上がりを見せ、その直後で使われるC#(Ⅱ)で、この曲初めて非ダイアトニックなコード(臨時調号を使わないと、コードの構成音を表すことができないコード)が登場します。非ダイアトニックコードには様々な種類がありますが、いずれも聴き手をハッとさせたり、強いインパクトや切ない感情を持つことが特徴です。ここで登場するⅡは、Ⅱm(C#m)の代わりとして用いられていますが、Ⅱmを使う無難な響きに比べて、明るく砕けたような感覚が持てるかと思います。

サビ

そしてサビですが、ここでも「小室進行」が使われます。「小室進行」はマイナートニックコード(Ⅵm)から始まるコード進行であるため、「カッコいい」「暗い」といったイメージの楽曲が多いのですが、本曲はむしろ「明るい」「楽しい」といった印象を持つ方が多いのではないかと思います。

「何故、小室進行なのに明るい印象を持つのだろう」と不思議に思ったのですが、1つの理由としては、Ⅵm7のセブンスがあることによりⅠ→Ⅳという進行と似たような響きを持つことが挙げられると思います。本来暗いイメージを持つはずのマイナーコードが、セブンスの存在により、若干メジャーコードに近い響きを持っているということです(Ⅵm7とⅠは構成音が1つしか違いません)。

また、冒頭でも挙げたように、伴奏が全体的に高音からなるために明るさを感じるというのも大きいかもしれません。歌詞の影響というのもあるでしょう。いずれにせよ、「小室進行」という人気のコード進行に載りつつ、明るくポップな印象を持ち、更に、「♪ぜんぜんぜん」という非常にキャッチーで覚えやすいメロディーなどの要素から、一度聴いたら頭の中で何度もリピートしてしまうほどの楽曲で、タイアップもあいまって非常に人気が出たものと思われます。

なお、ヴォーカルの最高音はファ#で(「♪ぜんぜんぜん」の部分)、最近の男性ヴォーカル曲としては決して高い音ではありません。そのことから、カラオケでいつもキーが高い曲で苦しんでいる男性の方でも、原曲キーで頑張って歌ってみたい1曲です。

間奏

間奏は、wow wow…というコーラスが長く続きます。最初の方はコードなし、途中からⅥm→Ⅴ/Ⅶ→Ⅰ(G#m7→F#/A#→B)というコード進行が入ります。

※オリジナル版ではこの部分でもメロディーが入るようです。

最後の方に登場するA,Dはいずれも非ダイアトニックコードのⅦ♭、Ⅲ♭で、この2つのコードが連続する楽曲は極めて珍しいため、ここでは転調するのではないかと思うほど大きなインパクトを感じます。

まとめ

以上、「前前前世」のコード進行とその解説を簡単ではありますがおこなってみました。
RADWIMPSの楽曲は、歌詞もメロディーも独特でクセがあり、良くも悪くも好みが分かれる楽曲も多いという認識でいました。

しかし、本曲に関していえば、きわめてキャッチーなメロディーと歌詞、定番のコード進行を使った、いわゆる「売れセン」の楽曲であり、これまでのラッドの楽曲とは大きく異なる印象を持ちました(もちろんいい意味です)。

「君の名は。」に使用されている他の楽曲についても同様の記事を書いておりますので、興味があればぜひご覧ください。

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