ソナーポケット「Rain」のコード進行解析と楽曲の感想


本記事では、2016/10/26発売のソナーポケットの楽曲「Rain」のコード譜と、音楽的な解説、および楽曲を聴いた感想を記していきます。

「Rain」の概要

本曲はソナポケの24作目、半年ぶりとなるシングルで、ストリングスとピアノの響きが大変美しいナンバーです。

10/7にメンバーの1人のko-daiが総胆管結石による急病のため、残念ながら10月中のライブやイベントの出演はすべてキャンセルとなってしまいましたが、彼の回復・復帰とともに、本曲が生で演奏されることが、多くのファンにより望まれています。

「Rain」のコード進行

●イントロ
|D♭ E♭|Fm|D♭ E♭|Fm|
|B♭m7 E♭|C/E Fm|
|B♭m7|D♭m/E|

●Aメロ(1コーラス)
|D♭M7 E♭|Fm7|
|D♭M7 E♭|Fm7|
|D♭M7 E♭|Fm|
|D♭M7 E♭|(N.C.)|

●Bメロ(1コーラス)
|D♭ E♭|Cm7 Fm|
|B♭m7 E♭|A♭ A♭7|
|B♭m7 E♭|A♭ E♭/G Fm・|
|B♭m7|Csus4 C7|

●サビ(1コーラス)
|D♭M7 E♭|A♭|
|D♭M7 E♭|A♭|
|D♭M7 E♭|Fm Dm7-5|
|D♭M7 D♭m7|A♭|
|D♭M7 D♭m7|

●間奏
|D♭ E♭|Fm|D♭ E♭|Fm|

●Aメロ(2コーラス)
|D♭M7 E♭|Fm7|
|D♭M7 E♭|Fm7|
|D♭M7 E♭|Fm|
|D♭M7 E♭|A♭|

●Bメロ(2コーラス)
|D♭ E♭|Cm7 Fm|
|B♭m7 E♭|A♭ A♭7|
|B♭m7 E♭|A♭ E♭/G Fm・|
|B♭m7|Csus4 C7|

●サビ(2コーラス)
|D♭M7 E♭|A♭|
|D♭M7 E♭|A♭|
|D♭M7 E♭|Fm Dm7-5|
|D♭M7 D♭m7|A♭|A♭sus4 A♭|

●Cメロ
|Fm7|D♭|E♭|A♭|
|Fm7|B♭m7|D♭M7|E♭|E♭・・C7|

●ラスサビ
|D♭M7 E♭|A♭|
|D♭M7 E♭|A♭|
|D♭M7・E♭C/E|Fm Dm7-5|
|D♭M7 D♭m7|A♭ Fm|
|B♭m7 E♭sus4|Fm7|

●後奏
|D♭ E♭|Fm|D♭ E♭|Fm|
|B♭m7 E♭|C/E Fm|
|B♭m7|

イントロ

ピアノの優しい旋律でサビのメロディーを奏でるイントロが始まります。本曲のキーはA♭メジャー(Fマイナー)で、楽譜だと♭を4つ要する調です。ギターで弾く場合は、1つ下のGメジャーのキーを弾いてカポを1フレットに付けるようにすると、非常に簡単なコードばかりになります。

コード進行はD♭(Ⅳ)→E♭(Ⅴ)→F(Ⅵ)mという、「456進行」で最初の2つのコードだけに着目すれば「王道進行」の仲間でもあります。ソナーポケットの代表曲「365日のラブストーリー 」のサビでもこの進行が使われています。

3つ目のコードは、イントロではFmですが、サビではA♭(Ⅰ)で、同じような旋律を弾きながら、あえてコードだけは変えていることがわかります。

イントロの最後のコードは、耳コピが少し難しかったのですが、おそらく、「サブドミナントマイナー」と呼ばれるD♭(Ⅳ)mというコードだと思います。ノンダイアトニックコード特有の、独特の響きがあります。

Aメロ~Bメロ

本曲のAメロとBメロは、1コーラスと2コーラスで、コード進行はほぼ同じですが、メロディーは、別の曲と言ってもいいほど大きく異なります。特に2コーラスのキーはサビよりも高い音が多く、ソナポケらしい細かい節回しが多いため、本曲を歌うことを練習される方は、特に2コーラスのA~Bメロを繰り返し練習することをお勧めします。

コード進行について語ると、まずBメロの最初の2小節はD♭(Ⅳ)→E♭(Ⅴ)→C(Ⅲ)m7→F(Ⅵ)mとなっており、これは典型的な「王道進行」と呼ばれるものです。続いて、4小節目に登場するA♭(Ⅰ)→A♭(Ⅰ)7という進行ですが、このⅠ7は、「セブンスがついたことによりノンダイアトニックになったコード」であるため、セブンスがあるのとないのとでは、全く違う響きがあります。Ⅰ→Ⅰ7という進行は、次のサブドミナント(D♭=Ⅳ)を強調するために頻繁に用いられるテクニックです。

更に、6小節目のA♭(Ⅰ)→E♭(Ⅴ)/G(Ⅶ)→F(Ⅴ)mは、カノン進行を1小節内で、1拍ずつコードを変えて表現する手法です。カノン進行自体も多く使われているのですが、このようにカノン進行のコードを1拍ごとに変えて演奏するコード進行も、非常に多くの楽曲で使われている印象があります。

サビ~

サビのコード進行はD♭(Ⅳ)→E♭(Ⅴ)→A♭(Ⅰ)です。Ⅳ→Ⅴで始まる進行は、3つ目のコードはⅠ、Ⅵm、Ⅲmのいずれかの場合がほとんどですが、本曲ではその3パターンがすべて登場していることになります。

5小節目は、1コーラスと2コーラスではD♭(Ⅳ)→E♭(Ⅴ)という平凡な進行なのですが、ラスサビだけは、最後の一拍にC/E(もしくはEdimかもしれませんが)を混ぜており、非常に細かい部分ですが、印象に変化を与えるアレンジになっています。このように、同じフレーズでもさりげなく異なるコードを使うのは、多くの人は意識せずにそのまま聞き流してしまうのだと思いますが、意識外の範囲で、何らかのインパクトを感じるきっかけになると個人的には思っているので、参考にしていきたいと思うテクニックです。

続いてその次の小節のF(Ⅵ)m→D(Ⅳ#)m7-5。Ⅳ#がルート音のコードが使われるのは非常に珍しいのですが(もちろんノンダイアトニックコードです)、ⅣやⅡmを導出するためにたまに使われるコードです。

更に、その次の小節では、イントロの最後でも出てきたサブドミナントマイナー(D♭m)が登場していますね。

Cメロでは、F(Ⅵ)m→D♭(Ⅳ)という「小室進行」が使われています。本曲はCメロを除くすべてのパートが、サブドミナント(D♭=Ⅳ)から始まっており、ここだけマイナートニックから始まるコード進行という事になります。

本曲のヴォーカルの最高音はシ♭で、最低音はミ♭。最高音は2コーラスのBメロの最後の音で使われており、このパートはサビに比べてもかなり高いキーで歌われているのが特徴です。

ストリングス、アコギ、ピアノの織り成すハーモニーが、ヴォーカルのメロディーと見事にマッチした、非常に綺麗な楽曲です。細かいところで、コード進行上のテクニックが多く使われており、音楽的にも参考になる楽曲だと思いました。

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