本記事では、ラブライブ関連の楽曲をコード進行によりパターン分けし、よく使われているパターン順にリストアップしていきます。
雑誌の企画に始まり、アニメ、ゲーム、コミックと様々なメディアに登場し人気が爆発した「ラブライブ!School idol project」。そのヒットの要因は、ストーリー、キャラクター、声優や種々のイベント等によるところも大きいでしょうが、キャッチーな楽曲が多く使われたという影響も見逃せません。ラブライブ関連のCDは10万枚を超えるヒットを記録したものも存在し、「アニメ自体は見たことがないけど主題歌は歌える」、という人も少なくありません。
楽曲の良さはメロディー、歌詞、アレンジ、ヴォーカルの良さももちろん大事ですが、伴奏のコード進行が生み出すハーモニーも非常に重要で、日本では頻繁に使われるコード進行が、数多くのヒット曲を生み出してきました。
前回、AKB48グループのヒット曲をコード進行のパターン別に分類したところ、見事に「三大コード進行」と呼ばれるパターン(カノン進行、王道進行、小室進行)が上位を独占しました。当然、他のアーティストやジャンルでも同様の傾向にあるのか、それともAKBが特殊だったのかが気になるところです。今回、ラブライブ!で同じようにコードパターンの集計をやってみようと思います。果たしてどのパターンが最も使われたコード進行になるのでしょうか?
単なる記号の羅列ではなく、それぞれの進行がどういった感覚を持つのかも併記し、また、少しではありますがアニメのキャラ名等も出していますので、「コード進行?何それイミワカンナイ」という方も、ラブライブ関連のワードで検索して当ブログにたどり着いたラブライバーの方も、この記事を読んで少しでもトリビアを身に着けていただけたら幸いです。
画像引用元:©ラブライブ!Official Web Site
目次
集計対象曲および諸注意
集計対象とする曲は、μ’sの雑誌企画から発売されたナンバリングCD(14曲)、アニメで使われた楽曲(18曲)、映画で使われた楽曲(6曲)、その他のμ’sのシングル(8曲), 派生ユニットやソロシングルの楽曲(39曲)で、シングルCDとして発売された作品に含まれている楽曲すべてとします(計85曲)。
BDの付属特典の楽曲や、シングルに収録されていない曲(A-RISE等)、および、ラブライブサンシャインの曲は除外します(A-RISEファンの方ごめんなさい)。
コード進行の分類は、僕のブログで行っているオリジナルの方法である「サビの最初の2つのコードのみで、曲を分類する方法」により行っています。詳細は下記の記事に記載しています。
最初の2コードで分類する方法をとるので、「最初はカノン進行だけど途中から王道進行」という楽曲があったとしても、それはカノン進行として集計します。サビの最初の2つのコードのみに注目していることから、他のサイトとパターンの判定が異なることがあります。
また、各曲のコード進行は、他サイトで調べたものではなく、全て僕の耳コピによるものです。中には聞き取りが難しく、正しいかどうか自信が持てないものも存在しますが、その点はご了承ください。
ラブライブ関連の楽曲で使われたコード進行ランキング
それでは、ラブライブの楽曲で使われたコード進行のパターンを、ランキング形式で挙げていこうと思います。
1位 Ⅰ→Ⅴパターン(カノン進行) 32曲
- 僕らのLIVE 君とのLIFE/μ’s
- Snow halation/μ’s
- 愛してるばんざーい!/μ’s
- Oh,Love&Peace!/μ’s
- Music S.T.A.R.T!!/μ’s
- MOMENT RING/μ’s
- さようならへさよなら!/μ’s
- 僕らは今のなかで/μ’s
- きっと青春が聞こえる/μ’s
- Wonder zone/μ’s
- COLORFUL VOICE/μ’s
- Love wing bell/μ’s(6人)
- Dancing stars on me!/μ’s
- KiRa-KiRa Sensation!/μ’s
- Happy maker!/μ’s
- SUNNY DAY SONG/μ’s
- ?←HEARTBEAT/絢瀬絵里、東條希、矢澤にこ
- Pure girls project/Printemps
- 夏、終わらないで。/BiBi
- 小夜啼鳥恋詩/Printemps
- ふたりハピネス/lily white
- Mermaid festa vol.2 ~Passionate~/高坂穂乃果・星空凛
- 乙女式れんあい塾/矢澤にこ・東條希
- まほうつかいはじめました!/矢澤にこ
- 純愛レンズ/東條希
- ぶる~べりぃ・とれいん/南ことり
- Listen to my heart!!/にこりんぱな
- after school NAVIGATORS/にこりんぱな
- タカラモノズ/μ’s
- Paradise Live/μ’s
- Super LOVE=Super LIVE!/μ’s
- WAO-WAO Powerful day!/Printemps
AKBグループ関連曲と同様、ラブライブ関連曲においてもカノン進行がダントツの1位でした。Ⅰ→Ⅴと進むコードのパターンは伴奏を鳴らすだけでも心地よい響きを持っており、全体の38%がこのコード進行です。ヒットを狙うために意図的にこのコードにしたのか、たまたま作った曲がこのコードが多かったのかはわかりませんが、実際にこのパターンが多いというのは数字にしてみると明らかです。
ちなみに、上に挙げた曲のうち、「snow halation」はここに入れるべきか悩みました。この曲はⅠadd9→Iadd9/Ⅲ→Ⅴ/Ⅳと推移する珍しいパターンです。add9やベース音を無視すれば、Ⅰ→Ⅴになるため、一応カノン進行とみなしましたが、聴いた感触は典型的なカノン進行の曲とは若干異なります(余談ですが、この曲はファンの間では人気が高い楽曲の1つですが、ありきたりなコード進行を使わず、インパクトがある箇所が多数存在するのも人気の要因の1つであると思っています)。ただ、それで1曲減ったとしても、カノン進行がダントツの1位であることに変わりはありません。
2位 Ⅳ→Ⅴパターン(王道進行)15曲
- 夏色えがおで1,2,Jump!/μ’s
- もぎゅっと“love”で接近中! /μ’s
- Wonderful Rush/μ’s
- ススメ→トゥモロウ/高坂穂乃果、南ことり、園田海未
- START:DASH!!/高坂穂乃果、南ことり、園田海未
- ユメノトビラ/μ’s
- Hello,星を数えて/星空凛、西木野真姫、小泉花陽
- Love marginal/Printemps
- sweet&sweet holiday/Printemps
- 永遠フレンズ/Printemps
- 冬がくれた予感/BiBi
- 恋のシグナル Rin rin rin!/星空凛
- 孤独なHeaven/小泉花陽
- 勇気のReason/園田海未
- Shangri-La Shower/μ’s
2位はⅣ→Ⅴと推移する王道進行でした。カノン進行よりも少ないものの、3位には倍近い差をつけています。こちらも日本では大人気のコード進行であり、明るい曲、アイドル曲で多く使われる進行です。「START:DASH!!」も典型的な王道進行パターンの曲で、クラシック曲ばかり聴いてきたはずの西木野真姫が、μ’sのデビュー曲としてこの進行の曲を作ったのはさすがとしか言いようがありません。
3位 Ⅵm→Ⅳパターン(小室進行)8曲
- 輝夜の城で踊りたい/μ’s
- ラブノベルス/BiBi
- Cutie Panther/BiBi
- 知らないLove*教えてLove/lily white
- Someday of my life/高坂穂乃果
- Daring!!/西木野真姫
- ありふれた悲しみの果て/絢瀬絵里
- PSYCHIC FIRE/BiBi
3位はⅥm→Ⅳと推移する小室進行。ここで興味深いのは、曲数自体は比較的大きな割合を占めながら、アニメや映画で使われた曲が1曲もないことです。小室進行は、カワイイ系というよりはカッコいい系のコードであるため、ラブライブのアニメの世界観にはあまり合っていなかったということでしょうか。それとも、作曲を担当した(という設定の)真姫がこのパターンを好まなかったのかもしれませんね(ただし、彼女のソロ曲は小室進行ですし、BiBiの曲にもこの進行の曲が多いのがまた面白いところです)
単なる偶然かもしれませんが、コード進行を分類すると、こういった考察もできるので面白いです。これで1位~3位までの順位は、AKB48のコード進行での集計結果と全く同じになりました。
4位 Ⅰ→Ⅳパターン 5曲
- 友情ノーチェンジ/μ’s
- Trouble Busters/BiBi
- HEART to HEART!/μ’s
- 嵐のなかの恋だから/μ’s
- ミはμ’sicのミ/μ’s
「3強」の次にランクインしたのは、明るめの雰囲気を持つⅠ→Ⅳパターンでした。アニメや映画の曲を集計していた時点では1曲も出てこなかったので意外に思っていたのですが、結局はこの順位となりました。
5位 Ⅰ→Ⅲmパターン 4曲
- それは僕たちの奇跡/μ’s
- SENTIMENTAL StepS/μ’s
- Future style/高坂穂乃果、南ことり、園田海未
- キミのくせに!/lily white
4曲に使われていたパターンが2つありました。1つは、カノン進行に似た感覚のⅠ→Ⅲmパターンです。全曲の中で1,2の人気を争う「それ僕」の他、映画で使われた「Future style」も入りました。
5位 Ⅵm→Ⅴパターン 4曲
- LOVELESS WORLD/μ’s
- だってだって噫無情/μ’s
- ダイヤモンドプリンセスの憂鬱/BiBi
- あ・の・ね・が・ん・ば・れ!/lily white
もう1つは、小室進行の派生ともみなされることがあるⅥm→Ⅴパターン。小室進行と同じく、カッコいい系の曲が多く、アニメ・映画で使われた曲はゼロとなっています。
7位 Ⅵm→Ⅱmパターン 3曲
- Mermaid festa vol.1/μ’s
- UNBALANCED LOVE/Printemps
- 錯覚CROSSROADS/BiBi
3曲に使われたパターンも2つありました。1つはとても切なく哀愁漂う感覚を持つⅥm→Ⅱmのパターン。「Mermaid festa」は、vol.1はこのパターンですが、vol.2は非常に明るいカノン進行で、タイトルは同じでも曲のフィーリングとしては正反対であることがわかります。「UNBALANCED LOVE」は、サビの中で転調してさらに盛り上がる箇所があり、後半だけに注目すれば小室進行です。
7位 Ⅵm→Ⅲmパターン 3曲
- Angelic Angel/μ’s
- NO EXIT ORION/Printemps
- 微熱からMystery/lily white
Ⅵm→Ⅲmのパターンも3曲ありました。「NO EXIT ORION」と「微熱からMystery」は、コードだけでなく、1小節目の最初から4音くらいまで同じメロディーなので、非常に似たような印象を持つ2曲です。
9位以下
2曲以下のパターンをざっくり挙げていきます。
- Ⅰ→Ⅲパターン・・・「どんなときもずっと」/μ’s、「告白日和、です!」/南ことり・小泉花陽
- Ⅳ→Ⅲパターン・・・「soldier game」/西木野真姫・園田海未・絢瀬絵里、「春情ロマンティック」/lily white
- Ⅰ→Ⅱmパターン・・・「これからのSomeday」/μ’s
- Ⅰ→Ⅶm7-5パターン・・・「僕たちはひとつの光」/μ’s
- Ⅱm→Ⅴパターン・・・「思い出以上になりたくて」/lily white
- Ⅳ→Ⅰパターン・・・「baby maybe 恋のボタン」/μ’s
- Ⅵm→Ⅰパターン・・・「WILD STARS」/μ’s
- Ⅵm→Ⅵパターン・・・「秋のあなたの空遠く」/lily white
- Ⅵm→Ⅲパターン・・・「るてしキスキしてる」/μ’s
Ⅱm→ⅤパターンやⅥm→Ⅵパターンは、J-POP全体で見ればそれほど珍しい進行ではないのですが、ラブライブ曲では1曲のみとなりました。逆に、Ⅵm→Ⅵや、Ⅰ→Ⅱmといった進行が最近のJ-POPのサビの先頭に使われるのは珍しいと言えるでしょう。アニメ・映画版ではμ’sの集大成ともいえるべきラストシングル「僕光」が、他の楽曲では使われていないⅠ→Ⅶm7-5パターンであったのは興味深いですね(ちなみに、現実のμ’sのラストシングル「MOMENT RING」はカノン進行です)。
まとめ
ラブライブの曲で使われたコード進行を最初の2つのパターンに着目して分類したところ、AKBグループの結果と同様に、1~3位までがカノン進行、王道進行、小室進行の順に三大コード進行が占める結果となりました。全曲の65%がこの3パターンのいずれかということになります。カッコいい系の楽曲で使われるコード進行が、特にアニメや映画で使われた楽曲では少なかった印象で、全体的に可愛く明るい系の曲が多いということが、コード進行の点からも見て取れます。
これまでAKB48グループ、ラブライブと2つのジャンルで集計をしてきましたが、いずれも上位3位は同じ結果になりました。これは、僕がこのような結果を出すためにわざとこの2つのジャンルを選んだわけではなく、たまたま集計しようと思ったジャンルが、2つとも同じ結果になったので、僕としてもとても驚いております。
次回は、これらとは全く異なるジャンルのアーティストで集計し、それでも上位3パターンが変わらないのかを調べてみたいと思います。