B’z「世界はあなたの色になる」のコード進行解析と楽曲の感想


本記事では、2016/10/4に配信が開始された、B’zの新曲「世界はあなたの色になる」のコード譜と、音楽的な解説、および楽曲を聴いた感想を記していきます。

世界はあなたの色になる
画像引用元:©B’z Official Website

「世界はあなたの色になる」の概要

本作は、アニメ「名探偵コナン」の主題歌として長く流れてきた楽曲ですが、10/4に突然配信リリースが開始された、配信専用のシングル曲です。

上のYoutubeの動画はサビのみですが、当方はレコチョクで購入してフルで聴いたため、コードはフルコーラスで解説させていただきます。

サビでもサビ以外でも、珍しいコード進行がたくさん登場するため、コード進行の観点からも非常に興味深い楽曲です。

「世界はあなたの色になる」のコード進行

●イントロ
|Bm|C#|E|B|×4

●Aメロ(1コーラス)
|Bm|C#|E|B|Bm|C#|E|B|
|D|A|E|B・・A|
|Bm|C#|E|B|Bm|C#|E|B|
|D|A|E|B|
|D|A|E|G|
|(N.C.)|(N.C.)A|

●サビ(1コーラス)
|D|A|G7|G7|Bm|A|G7|F# A|
|D|A|G7|G7|Bm|A|G7|F#|
|Em7|Em7|F#m|G F#|

●間奏1
|Bm|C#|E|B|×2

●Aメロ(2コーラス)
|Bm|C#|E|B|Bm|C#|E|B|
|Bm|C#|E|B|Bm|C#|E|B|
|D|A|E|B|
|D|A|E|G|
|(N.C.)|(N.C.)A|

●サビ(2コーラス)
|D|A|G7|G7|Bm|A|G7|F# A|
|D|A|G7|G7|Bm|A|G7|F#|
|Em7|Em7|F#m|G G#m7-5|
|F#|F#|F#|F#|

●Bメロ
|Bm|A|D|B|
|G7|Gm7|D|D|
|Bm|A|D|B|
|G7|Gm7|D|D|

●間奏2
|Bm|A/C#|D|B/D#|
|G7|Gm7|D|D A/C#|
|Bm|A/C#|D|E|
|G|A|F#|F#|F#|F# A|

※サビ(1コーラス) 繰り返し

●後奏
|Bm|Bm|Bm|Bm|×8
|Bm|C#|Em7|Bm|

イントロ

B(Ⅵ)m→C#(Ⅶ)という、最近の楽曲では比較的珍しいコード進行から始まります。2つ目のⅦというコードは強烈な印象を持つノンダイアトニックコードで、邦楽では、歌謡曲など古い楽曲でよく使われているのですが、B’zの楽曲でこの進行で始まる楽曲は珍しいのではないかと思います。

さらに珍しいのが、その次のE(Ⅱ)→B(Ⅵ)という進行です。Ⅵm→Ⅶで始まる楽曲は、その次はⅢ→Ⅵmのように、Ⅶの次はⅢが来ることがほとんどなのですが、本曲ではⅡ、Ⅵという2つのノンダイアトニックコードが使われています。

本曲の調はBマイナーなので、最初のフレーズのBm,C#,E,Bの中ではBm以外の3つがノンダイアトニックコードとなっており、最後の2つは、どちらかといえばBメジャーの調のようなコードですね(「それならば、本曲のキーはBメジャーなのではないか?」と思われるかもしれませんが、他の部分のコード進行などから、本曲のキーはBマイナーと判定しました。この辺は理屈で説明するのは難しいです。もしかしたら転調しているとみなす方もいらっしゃるかもしれませんね。調の定義自体曖昧なものなので、それでも間違いではないと思われます)。

この4つのコードが、この順番で登場する楽曲は、邦楽全体を通しても珍しいのではないかと思います。

Aメロ

メロディー部分も、しばらくは、イントロと同じコード進行が続きます。そのあと、切ない感じの曲調から一転して、トニックメジャーコード(D)から始まる部分があります。

この部分の前半はD(Ⅰ)→A(Ⅴ)という、カノン進行的な定番コードと思いきや、そのあとはE→Bという、先ほども出てきたノンダイアトニックな進行が使われています。

なお、2コーラスのAメロは、ピアノの伴奏に、加工されたヴォーカル音が乗る構成になっていますが、ちょっぴり不思議な感じがして、個人的に気に入った部分です。

サビ

サビのコード進行は、最初の2つはD(Ⅰ)→A(Ⅴ)で、これだけなら平凡なカノン進行ですが、その次のG(Ⅳ)7は、短7度の「ファ」の音がBマイナー(Dメジャー)のスケール上にない音であるため、ノンダイアトニックセブンスコードになります。この「ファ」の音は、コードだけでなく、メインのメロディーでも何度も使用され(たとえば「♪この世界は」の「は」の音が「ファ」に相当します)、ノンダイアトニックの独特の感情を感じる部分が多く存在するサビとなっています。

ちなみに、Aメロやイントロで特に強烈な響きを持つコードであるC#も、「ファ」の音を含んでいます。本曲はこの「ファ」の音が、様々な場所でインパクトを出すキー的な存在になっているのかもしれません。

Bメロ~

2コーラスのサビが終わると、大サビ(コード譜では「Bメロ」と表記)が始まります。この部分のコード進行は、ノンダイアトニックコードも含むものの、ここまでに出てきたコード進行に比べれば、比較的多くの楽曲で使用されているコード進行と言えるでしょう。「♪まぎれもない真実」という部分で、コードがG(Ⅳ)7→G(Ⅳ)m7と、サブドミナントマイナーを使っているところは切ない感情を出していますね(短7度がついている時点でノンダイアトニックですが、サブドミナントマイナーになることで、余計にノンダイアトニック独特の味が増すようになっています)。

間奏はギターソロがメインですが、あえてコード進行に注目してみると、分数コードを使用しながら、ベース音を徐々に上げていく手法がとられていることがわかります。Aメロやサビで感じる印象とはまた違った感情を、ここでは感じることができます。

他に秀逸だと思ったのは、後奏の一番最後の部分です。一旦音が止んで、楽曲が終わったと思ったところから、ワンフレーズほどギターとピアノによる伴奏が入っており、とても素晴らしい響きを感じます。この部分は、あえてコード進行で表すとすれば、Bm→C#→Em7→Bmとなり、イントロやAメロで使われているものと比較すると、後半の2つのコードが、ルート音は同じながら、ダイアトニックコードに代わっています。

本曲は、B’zの楽曲としてはもちろん、J-POP全体として見てもかなり珍しいコード進行が使われた楽曲だと言えます。特に、イントロやAメロで何度か使われている、4つで1組のコード進行と、サビのⅣ7などで表現される感情は、ぜひ楽器で弾いて味わってみてください。

B’zについて、このような記事も書いています。

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本曲は、この記事で使用している分類法で言えば、Ⅰ→Ⅴの「カノン進行」に相当するのですが、上述したように、その次のⅣ7の存在により、一般のカノン進行の楽曲とはかなり印象が異なります。

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