aiko「恋をしたのは」のコード進行解説と感想(9/20 フルコーラスで追記)


本記事では、2016/9/21発売のaikoの新曲「恋をしたのは」のコード進行と、音楽的な解説、および楽曲を聴いた感想を記していきます。

※9/22 表示が全体的に崩れていたので修正しました。読んでいただいた方には大変失礼いたしました。
※9/26 Bメロ、サビ、大サビなどの表記を変更しました(コード進行そのものに修正はなし)。

「恋をしたのは」の概要

本曲はaikoの36枚目のシングルで、アニメ映画「聲の形」の主題歌で、コードだけ見ても至るところに特殊なテクニックが使用されており、aikoらしさを感じる楽曲です。

「恋をしたのは」のコード進行

●出だしサビ
|A♭m7 D♭|B♭m7 E♭m|(N.C.)|

●イントロ
|BM7|BmM7|B♭m7|A6|
|A♭m7 B♭m|B D♭|Bm D♭|

●Aメロ
|G♭M7|D♭/F ・D♭m/E E♭|
|Bm/D G♭/D♭|D E|
|G♭M7|Fm7-5 B♭7|
|E♭m E♭m/D♭|Cm5 D♭|

●Bメロ
|A♭m7|D♭|B♭m7|A6|
|A♭m7|D♭|G♭|D♭m7 G♭|

●サビ
|BM7|BmM7|B♭m7|A6☆|
|A♭m7|D♭|B♭m7|E♭m E♭|
|BM7|BmM7|B♭m7|A6☆|
|A♭m7|D♭|G♭M7|G♭7|
☆は、ラストの繰り返し時のみA6→Gdim

●間奏1
|A♭m7 B♭m|B D♭|

※Aメロ~サビ 繰り返し

●大サビ
|A♭m7 D♭|B♭m7 E♭m|
|A♭m7 B♭7|E♭m B♭/D G♭/D♭ A♭/C|
|A♭m7・B D♭|B♭m7 B♭7 E♭m ・|
|A♭m7 B♭m7|Bm D♭|

●間奏2
|D|Dm|C#m|C#7|
|Bm7 E|Bm7 E|G#m7|C#|

※サビ繰り返し

イントロ

ピアノとヴォーカルの静かなイントロから始まります。その後、イントロのコード進行でBmM7とあまり見慣れないコードが登場します。しかし、aikoにとってはこのコード、というよりこのコードを含めたBM7→BmM7→B♭m7(Ⅳ△7→Ⅳm△7→Ⅲm7)というセットはそれほど珍しくはなく、例えば「戻れない明日」のサビでも同じコード進行が使われます。

mM7自体は、どのキーであっても必ずノンダイアトニックであり、違和感や不協和音性を内包したコードであるため、そうそう使われることはありません。しかし、このような不思議な感覚を持つコード進行を多く使用しているのが、aikoの楽曲の特徴と言えます。

なお、本曲のキーはG♭(F#)で、このキーのコードをギターで弾くのは大変なので、カポを1フレット目につけて、記載したコード譜よりも半音下のコードを弾くようにすると比較的楽だと思います。コード譜は原曲キーで記載することを目指しているので、♭の記号がチラチラしてうっとうしいと思いますがご了承ください。ピアノの場合も黒鍵盤だらけで大変ですね。

Aメロ~Bメロ

Aメロも、相変わらず変わったコード進行が多数使われています。例えば、D♭m、E♭、Bm、D、EなどはいずれもG♭キーの楽曲におけるダイアトニックコードではなく、ハッとするような感触が何小節にもわたって続きます。これだけ変わったコード進行を使いながら、調性がおかしくならないのはさすがと言えます。

ちなみに、後半の「♪一枚~」から始まる部分はBメロのようにも思いますが、そうするとBメロが非常に長くなるので、Aメロに含めさせていただきました。表記における問題だけなので大した意味はありませんが、本曲は、Aメロ、Bメロ、サビの区別が非常に曖昧で、サビと思われる部分が1度しか流れないなど、多くの楽曲とは構成が異なっています。

本ブログの読者の方より、aiko公式サイトのインタビューにおいて

サビはロングトーンが多いので、そこは音程を気にしながらも、でも強く歌いすぎず内にこもった感じ…それが大サビになると爆発していく…

という文章があるため、「♪伝えたかったことは」から始まる部分がサビではないかというご指摘をいただきました。全くその通りだと思うので、Bメロ、サビなどの表記を一部修正しました。

サビ

イントロで使われたBmM7を含むコード進行が再登場します。このメロディーからサビに入るかと思いきや、間奏が入り、再度AメロとBメロが流れます。最後に使われているG♭7は、トニックなのに不安定感を持ったⅠ7で、次にⅣやⅡmなどを誘導する働きがあります。

大サビ~

大サビはⅡm→Ⅴ→Ⅲm→Ⅵmという進行で、これは王道進行の1つ目のコード(Ⅳ)を代理コードのⅡmに変えた、「ツーファイブ」等と呼ばれる進行です。「王道進行」ほど頻度は高くないものの、多くの楽曲で使われています。変わったコードだらけの本曲ですが、普通のコード進行が使われていると言えるのは、この部分くらいと言ってもいいでしょう(笑)。

3小節目は1小節目と同じコードでも問題ないところですが、あえてⅢ7(B♭7)というノンダイアトニックコードを入れることで変化を出しています。また、4小節目は1拍ごとにベース音が半音ずつ下がるテクニックが使われてます。

サビの後の感想はキーがA調に転調しています。この転調は「同主調」への転調であり、「D♭」というコードが転調前のG♭調と転調後のA調の橋渡しとなり、比較的自然な感じで転調が成し遂げられています。A調からG♭調に戻る時に橋渡しになるのも、同じD♭(C#)というコードです。

本曲におけるヴォーカルの最高音は、サビと大サビに登場する「レ♭」です。

まとめ

楽曲を聴く前から、この曲のコード採譜は難しくなるだろうなあと思っていたのですが、やはりとても難しかったです(笑)。aikoの楽曲は、いつもこういう複雑なコード進行ばかりなので、覚悟はしてました。よくこのような楽曲が作れるものだと感心してしまいます(もちろん良い意味ですよ)。

複雑なコードや、♭の記号が多いため、間違いがある可能性もありますが、その際はご容赦ください。

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