目次
はじめに
本記事では、AKB48グループの全シングル曲を、コード進行によりパターン分けをして、よく使われている順にその内訳とともにリストアップします。
2010年以降、CDシングルチャートを独占し続けているAKB48とその関連グループ。大ヒットの要因としては、楽曲以外の要素(特にCDの特典)も大きいとは思いますが、日本人に受け入れやすい楽曲を多く生み出してきた、という要素も無視はできないと思います。
楽曲の良さとしては歌詞やメロディーも大事ですが、コード進行(ハーモニー)も非常に重要であり、J-POPではよく似たコード進行を持った楽曲が、繰り返しヒットしてきた歴史があります。
AKB48グループの楽曲も、そのパターン通りなのか、それとも他の珍しいコード進行も多く使われているのか、個人的に非常に気になり、全曲のパターンを調べてみようと思い立ちました。
集計対象曲および諸注意
本記事で集計対象とするのはAKB48(45曲), SKE48(19曲), NMB48(14曲), HKT48(7曲), 乃木坂46(15曲)、欅坂46(1曲)、SDN48(5曲)の7グループが、2016年7月末までに発売した全シングルの1曲目に収録されている曲とします(計106曲)。AKB48のインディーズ時代の曲は含みますが、配信限定の曲は除外します。また、AKB48の「桜の花びらたち2008」も「桜の花びらたち」の同曲別バージョンなので除外しております。派生ユニットについても、今回は除外させていただきます。
コード進行の分類は、僕のブログで行っているオリジナルの方法である「2コード分類法」により行っています。詳細は下記の記事に記載していますが、簡単に言えば「サビの最初の2つのコードのみで、曲を分類する」というものです。
最初の2コードで分類する方法をとるので、「最初はカノン進行だけど途中から王道進行」という楽曲があったとしても、それはカノン進行として集計します。
また、各曲のコード進行は、他サイトで調べたものではなく、全て僕の耳コピによるものです。AKB48グループの曲は比較的コードが聞き取りやすいとはいえ、リストアップした全ての曲が寸分違わず正しいという保証はありませんので、その点はご了承ください。
AKB48グループで使われたコード進行ランキング
それでは、AKB48とその関連グループの楽曲で、最も多く使われたコード進行を順番にランキング形式で挙げていこうと思います。
1位 Ⅰ→Ⅴパターン(カノン進行)36曲
- 桜の花びらたち/AKB48
- 僕の太陽/AKB48
- 涙サプライズ !/AKB48
- 桜の栞/AKB48
- チャンスの順番/AKB48
- 上からマリコ/AKB48
- GIVE ME FIVE!/AKB48
- ギンガムチェック/AKB48
- 永遠プレッシャー/AKB48
- So long!/AKB48
- 恋するフォーチュンクッキー/AKB48
- 前しか向かねえ/AKB48
- ラブラドール・レトリバー/AKB48
- 唇にBe My Baby/AKB48
- ごめんね、SUMMER/SKE48
- バンザイVenus/SKE48
- キスだって左利き/SKE48
- 未来とは?/SKE48
- 不器用太陽/SKE48
- 12月のカンガルー/SKE48
- コケティッシュ渋滞中/SKE48
- オーマイガー!/NMB48
- ナギイチ/NMB48
- らしくない/NMB48
- ドリアン少年/NMB48
- スキ!スキ!スキップ!/HKT48
- メロンジュース/HKT48
- 桜、みんなで食べた/HKT48
- ぐるぐるカーテン/乃木坂46
- 君の名は希望/乃木坂46
- 夏のFree&Easy/乃木坂46
- 何度目の青空か?/乃木坂46
- 太陽ノック/乃木坂46
- ハルジオンが咲く頃/乃木坂46
- 裸足でSummer/乃木坂46
- 負け惜しみコングラチュレーション/SDN48
集計前からある程度予想はしていましたが、カノン進行の楽曲がダントツの1位となりました。J-POP全体を見渡してもこのコード進行でのヒット曲は多いですが、AKB関連も例外ではありませんでした。
数には含めませんでしたが、「365日の紙飛行機」(カップリングのため除外)や「イビサガール」(配信限定のため除外)といった有名曲もカノン進行です。いかにこのコード進行でヒット曲が生まれやすいかがわかるかと思います。
2位 Ⅳ→Ⅴパターン(王道進行)16曲
- BINGO!/AKB48
- 大声ダイヤモンド/AKB48
- 言い訳Maybe/AKB48
- RIVER/AKB48
- 桜の木になろう/AKB48
- 君はメロディー/AKB48
- 強き者よ/SKE48
- アイシテラブル!/SKE48
- チョコの奴隷/SKE48
- 前のめり/SKE48
- 高嶺の林檎/NMB48
- 12秒/HKT48
- しぇからしか!/HKT48
- 走れ!Bicycle/乃木坂46
- 制服のマネキン/乃木坂46
- MIN・MIN・MIN/SDN48
2位はⅣ→Ⅴの進行でした。RIVER、しぇからしか!、制服のマネキン、の3曲は3つ目のコードがⅢmではないため、いわゆる「王道進行」とはみなされない場合もあるかもしれませんが、その他の13曲は典型的な王道進行です。
3位 Ⅵm→Ⅳパターン(小室進行)13曲
- 10年桜/AKB48
- ポニーテールとシュシュ/AKB48
- フライングゲット/AKB48
- 風は吹いている/AKB48
- ハート・エレキ/AKB48
- Green Flash/AKB48
- 僕たちは戦わない/AKB48
- パレオはエメラルド/SKE48
- 僕らのユリイカ/SKE48
- Don’t look back!/NMB48
- 甘噛み姫/NMB48
- 命は美しい/乃木坂46
- サイレントマジョリティー/欅坂46
3位は小室進行でした。これで、J-POPの3大コード進行と呼ばれるものが1,2,3位を占める結果となりました。この3つのコードだけで全体の6割以上を占めることになります。
4位 Ⅵm→Ⅱmパターン 7曲
- スカート、ひらり/AKB48
- 軽蔑していた愛情/AKB48
- ハロウィン・ナイト/AKB48
- 片想いFinally/SKE48
- 美しい稲妻/SKE48
- 愛、チュセヨ/SDN48
- 口説きながら麻布十番/SDN48
上位3位は予想はついていましたが、4位は個人的には意外でした。どちらかと古っぽい感触があり、最近のJ-POPでは少なくなっている傾向にあるこのコード進行が、3強の次にランクインしたからです。
明るい曲、かっこいい曲だけでなく、ちょっとセンチで哀愁漂う感じの曲調も、受け入れられやすいのかもしれません。シングルを5曲しかリリースしていないSDN48の曲が、ここに2曲も含まれていることは興味深いですね。
5位 Ⅰ→Ⅳパターン 6曲
- 会いたかった/AKB48
- 夕陽を見ているか?/AKB48
- 希望的リフレイン/AKB48
- 賛成カワイイ!/SKE48
- 北川謙二/NMB48
- ガールズルール/乃木坂46
5位は明るめのⅠ→Ⅳパターン。個人的にはこれも王道コードと呼んでいいほどよく使われるのではないかと思っていたのですが、実際には王道コードの半分以下の数。どうやら思い込みだったようです。
※「会いたかった」は「♪会いたかった~」と連呼する部分がサビであると判断しております。「♪好きならば」というフレーズをサビとみなすのであれば、小室進行に分類されます。
6位 Ⅰ→Ⅵmパターン 5曲
- さよならクロール/AKB48
- 心のプラカード/AKB48
- 控えめI love you !/HKT48
- 74億分の1の君へ/HKT48
- 今、話したい誰かがいる/乃木坂46
カノン進行の奇数番目のみを採用したⅠ→Ⅵmの進行が5曲ありました。個人的にはもう少しあると思ってたのですが…。この進行はカノンコードに置き換えても違和感が小さいことが多く、よりヒットする確率が高そうなカノンコードを採用してしまうのかもしれませんね。
6位 Ⅵm→Ⅰパターン 5曲
- UZA/AKB48
- チキンLINE/SKE48
- 絶滅黒髪少女/NMB48
- カモネギックス/NMB48
- Must be now/NMB48
このコード進行は、どちらかといえばロックのかっこいい系のアーティストでよく使われるため、アイドル曲では少ないと思っていたのですが、5曲もありました。
曲の一覧を見ても、きゃぴきゃぴした感じの曲ではなく、かっこいい系の曲ですね。最近のアイドルは本当に色んな曲調の曲を歌いこなしているんだなぁ、と改めて感心しました。
8位 Ⅰ→Ⅲmパターン 4曲
- ヘビーローテーション/AKB48
- 鈴懸なんちゃら/AKB48
- 翼はいらない/AKB48
- オキドキ/SKE48
カノン進行に非常によく似た響きを持つこの進行は4曲。カノン進行の曲と同じく、明るくいかにもアイドルチックなアップテンポな曲ばかりです。
9位 Ⅱm→Ⅴパターン 3曲
- 1!2!3!4! ヨロシク!/SKE48
- 気づいたら片想い/乃木坂46
- GAGAGA/SDN48
王道進行によく似たコード進行で、J-POP全体としてみればかなり多い部類に入ると思うのですが、AKBグループでは意外と少なかった印象です。
9位 Ⅵm→Ⅴパターン 3曲
- ロマンス、イラネ/AKB48
- Beginner/AKB48
- 純情U-19/NMB48
同率9位がⅥm→Ⅴパターン。この後にⅣが続くものは小室進行の派生とみなされることもあり、ロマンス、イラネと純情U-19の2曲がそれに該当します。
11位以下
11位以下はサクッと紹介していきます。
- Ⅰ→Ⅲパターン「Everyday、カチューシャ」/AKB48、「おいでシャンプー」/乃木坂46
- Ⅱm→Ⅲパターン「制服が邪魔をする」/AKB48
- Ⅵm→Ⅲパターン「ヴァージニティー」/NMB48
- Ⅳ→Ⅱmパターン「真夏のSound Good!」/AKB48
- Ⅳ→Ⅲmパターン「青空片想い」
- Ⅰ→Ⅶm7-5パターン「Baby! Baby! Baby!」/AKB48
- Ⅱm→Ⅵmパターン「バレッタ」/乃木坂46
「制服が邪魔をする」のⅡm→Ⅲや「バレッタ」のⅡm→Ⅵmの進行は、近年のJ-POPではかなり珍しい部類に入るでしょう。こういう珍しいコード進行は、AKBグループにおいても少数派とはいえ、決して0ではないのですね。
まとめ
AKB48関連のグループのシングル曲で良く使われているコード進行をランキング形式にしましたが、いわゆる「3大コード進行」が上位3位を独占し、中でもカノン進行が圧勝という結果になりました。非常に差がついているので、僕の「2コード分類」を使わずに他のサイトが紹介している方法で分類しても、大体は同じような結果になるでしょう。
「カノン進行だから売れる」のか「たまたまカノン進行の曲が多い」のかはわかりませんが、何にせよ、ヒット曲にカノン進行が多いという傾向は、AKBグループにおいても例外ではないということがわかりました。
やってみて結構面白かったので、今後も、他のアーティストや、年代ごとのヒット曲などについて、このような集計を行っていきたいと思います。