本記事では、9/21発売の松田聖子の新曲「薔薇のように咲いて 桜のように散って」のコード進行と、音楽的な解説、および楽曲を聴いたちょっとした感想を記していきます。
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「薔薇のように咲いて 桜のように散って」の概要
本曲は、松田聖子の通算82作目のシングルで、TBSドラマの「せいせいするほど 愛してる」の主題歌として使われています。作曲を手掛けたのはYOSHIKI氏で、本曲はYOSHIKIらしいオーケストラをふんだんに使ったピアノバラードになっています。
「薔薇のように咲いて 桜のように散って」のコード進行
|A♭ B♭|E♭|A♭ B♭|Cm|
|A♭ B♭|E♭|A♭ B♭|Cm|
●Aメロ
|A♭|E♭|B♭|Cm・・B♭|
|A♭|E♭|B♭|B♭・・(A)|
●Bメロ
|A♭|E♭|B♭|Cm・・B♭|
|A♭|E♭|B♭|G|
●サビ
|A♭ B♭|E♭|A♭ B♭|Cm|
|A♭ B♭|E♭|A♭ B♭|B♭|
※Bメロ繰り返し
●Cメロ
|G♭|A♭|D♭ A♭/C|B♭m|
|G♭|E♭/G|A♭|F|(N.C.)|
※サビ繰り返し
イントロ
イントロの前半はピアノのみ、後半はストリングスが入ります。作曲者の情報が伏せられていても、誰の作曲かが一発でわかりそうな、典型的なYOSHIKIサウンドと言えます。
コード進行はⅣ→Ⅴ→Ⅰの後にⅣ→Ⅴ→Ⅵmとした部分が1つのまとまりであり、非常に多くの楽曲で使用されたコード進行です。同じYOSHIKIプロデュースの楽曲で言えば、X JAPANの「Rusty Nail」「DAHLIA」のサビでは、キーが異なるだけで、これと全く同じコード進行が使われています。
最初のコードはA♭ですが、主旋律は「ファ」の音を奏でているため、A♭よりはA♭6に近いコードのニュアンスを持っています。なお、本曲のキーは、Cメロ以外がE♭メジャーまたはCマイナーです。
Aメロ
松田聖子の透き通るような歌唱が始まります。当作品をリリースする時点で54歳ですが、とてもそうは思えないほどの力強いヴォーカルです。コード進行はほぼ全てダイアトニックなものが続いておりますが、最後の小節に出てくる(A)と表記した部分は注意が必要です。
ここは、ピアノの左手で「ラ」の音を弾いているため、上記のように表記はしましたが、「A」というコードを和音として弾いているわけではありません。「A」は数字でいうとⅣ#というコードにあたりますが、このコードは構成音3つの全てが非ダイアトニックな音になるため、強烈な違和感を持つコードになります。したがって、本曲のような静かなバラード曲で、このコードを和音で弾いてしまうと、インパクトがありすぎてかえって不自然になる可能性があるので、(A)と示した部分では、「ラ」の音をルート音だけ弾くようにするのが良いと思います。ピアノなら左手だけで演奏し、ギターなら6弦で鳴らすだけといった感じです。
Bメロ
Aメロと非常に似たメロディーです。ここではヴォーカルにハモリが効かされており、非常に心地よいハーモニーを感じます。サビ直前ではG(Ⅲ)という非ダイアトニックコードを使っており、次に登場するA♭(Ⅳ)を強調しています。
サビ
イントロで奏でていたピアノの音を、ヴォーカルが奏でるという構成になります。松田聖子のほとんどの曲で言えることですが、伸ばす部分の声が大変美しいです。
ヴォーカルの最高音はシ♭です。女性曲としてはそこまで高音というわけではないですが、彼女のアイドル時代の楽曲でも最高音は「シ」か「シ♭」が多いので、36年前からほとんどキーが下がらずに現役を続けているのは、驚くべきことだと思います。
↑Cメロにそれより3音も高い音があったので訂正しました。
Cメロ
※2016/09/21追記しました。
D♭メジャーのキーに転調しています。キーが2音下がるタイプの転調で、Cメロで行われる転調としては珍しいタイプだと思います。更に、本曲におけるヴォーカルの最高音である「レ♭」の音が登場するなど、松田聖子の他の曲と比べても高いキーであり、サビに負けず劣らずインパクトがある部分だと思います。
松田聖子については以下のような記事も書いていますので、興味があればぜひ読んでみてください。