水曜日のカンパネラ「松尾芭蕉」のコード進行解析と感想


水曜日のカンパネラ「松尾芭蕉」の譜面の一部
本記事では、水曜日のカンパネラが歌う楽曲「松尾芭蕉」のコード進行を耳コピ採譜をしたものを掲載し、楽曲の感想を簡単に述べていこうと思います。

「松尾芭蕉」の概要


水曜日のカンパネラは、女性ボーカルのコムアイ、作曲担当のケンモチヒデフミ、マネージャーのDir.Fら男女3人のユニットで、これまで「小野妹子」「シャクシャイン」「ナポレオン」といった歴史上の著名人をタイトルとした楽曲や、「チュパカブラ」「私を鬼ヶ島に連れてって」「桃太郎」など、タイトルにインパクトがある楽曲を多く発表してきました。

音楽ジャンルとしては、Wikipediaでは「ヒップホップ」や「J-POP」などと説明がされていますが、実際にはそれらの言葉だけでは彼女たちの音楽を説明するのは難しく、歌詞、アレンジ、MV、ライブのパフォーマンスなど、他では見られないような独特な世界観を持っています。

そんな彼女らの新曲のタイトルは「松尾芭蕉」。この曲はトヨタ自動車の「プリウス」とコラボした作品で、MVにはそのプリウスが登場します。また、歌詞には車の専門用語や松尾芭蕉関連の単語が多数入っており、コラボ感が満載となっています。

楽曲は、MVの一部でも見られるように、水の中を漂うような不思議な感覚のアレンジで、おもわず水カンの世界観に引き込まれてしまいそうです。

動画は公式チャンネルによりYoutubeにアップされたものです。なお、16/8/30現在、本曲に関する発売日等の情報はありません(そもそもCDなどに収録されるかどうかも未定です)。

「松尾芭蕉」のコード進行

イントロ

|C#m7(9)|F#6|E#m7|EM7|C#m7(9)|F#6|E#m7|EM7|

シンセサイザーと打楽器のイントロから入ります。音数が少ないため、コードが特定しづらいですが、セブンスあるいはナインスといったテンションコードの響きが多く感じられました。

数字で書くとⅡm→Ⅴ→Ⅲm→Ⅵmというコード進行にあたり、最初のⅡmが代理コードのⅣに代われば、J-POPの中でも1,2を争うほどよく使われる「王道進行」になります。Ⅱm→Ⅴは、王道進行に比べるとかなり使用頻度は下がるものの、ヒップホップやダンスチューンなどではよく見られるコードのパターンです。キーはG#マイナー(またはBメジャー)となります。

冒頭サビ

|C#m9|D#m(11)|EM7|F#|E|F#|E|F#|

透き通るようなヴォーカルの高音が非常に綺麗なサビ。一番伸ばされている音はレの♯で、最高音はその半音上のミです。女性キーとしてはかなり高い部類の楽曲と言えます。

コード進行はⅡm→Ⅲm→Ⅳ→Ⅴと、ベースラインがじわじわ上がっていくタイプのパターン。この進行がサビで用いられるのは比較的珍しいと思います。

11thというコード表記を使いましたが、これはD#のベース音に対して、G#(4度)の音が聞こえたからです。D#sus4の方が良いかもしれません。G#の音を無理に表現しないならば、D#m7でもよいでしょう。

Aメロ

|C#m7|C#m7|D#m7|D#m7|C#m7|C#m7|D#m7|D#m7|
|C#m7|D#m7|EM7|F#|C#m7|D#m7|EM7|(N.C.)|

Aメロは全編ラップとなります。ラップとはいっても、コムアイのそれは、話し口調に近いようなラップで、これは本曲以外でも同様の事が言えます。

コード進行はⅡm、Ⅲm、Ⅳ、Ⅴのいずれかを繰り返し、テンションコードは多用しながらも、非ダイアトニックな特殊コードは一切使わない流れになっています。

コードを判断できるような伴奏はほぼピアノのみなので、ピアノの和音がそのまま楽曲のコードとなります。C#m7とEM7の判別が結構難しいです。セブンスがあるかないかも非常に聞き分けが難しいです。Ⅰ7のように非ダイアトニックなセブンスなら聴いてすぐわかるのですが、ⅡmやⅢmのセブンスは、つけてもつけなくても違和感がない場合がほとんどなので…。

Bメロ

|EM7|F#|G#m7|F#|EM7|F#|G#m7|F#|

ラップの後は、ファルセット調のヴォーカルの部分に変わります。コード進行はテンションコードを考慮しなければⅣ→Ⅴ→Ⅵm→Ⅴの繰り返しで、多くの楽曲に使われる王道パターンと言えます。リズムは2拍分を3・3・2と分割する3連符に近いもので、このリズムがBメロ~サビとずっと続き、本曲が通常の楽曲と異なる印象を持つ一因となっているような気がします。

サビ

|C#m9|D#m(11)|EM7|F#|C#m9|D#m(11)|EM7|F#|

1コーラスのサビは、冒頭のサビと異なり、前半と後半の4小節で全くコード進行が同じに聴こえます(冒頭のサビでは、後半はⅣ→Ⅴの響きがありました)。微妙な違いであり、僕の気のせいである可能性も否定できません。

間奏(1コーラス~2コーラス間)

|C#m7(9)|F#6|EM7|G#m|C#m7(9)|F#6|EM7|G#m|
|C#m|F#|E|F#|E|F#|G#m|G#m|

イントロのコード進行と似ていますが若干異なる進行となります。イントロなどではⅡmから始まりⅤで終わるなど、終始トニックコードが登場せず、したがって常に不安定さを感じる展開だったのですが、ここではマイナートニックコードであるG#m(Ⅵm)が登場して、解決感を醸し出しています。

この部分の後半では、民族音楽的な楽器を用いた部分が8小節ほど続きます。情緒を感じますね。

2コーラス

※Aメロ|C#m7|D#m7|EM7|EM7|C#m7|D#m7|EM7|EM7|(N.C)|〃|
|C#m7|F#|C#m7|D#m7|EM7|D#m7 D#/G|
※2コーラスのAメロ、Bメロ間の間奏
|EM7|F#|D#m7|G#m|C#m7|F#|D#m7|D#m7|
※2コーラスのBメロのコードは1コーラスと同じ
※2コーラスのサビ
|C#m9|D#m(11)|EM7|F#|C#m9|D#m(11)|EM7|F#|×2

2コーラスのAメロは、1コーラスのそれとはコードもラップのタイミングも大きく異なります。2段目の6小節目のところで、この曲で初めて(というか唯一)非ダイアトニックな音(臨時調号を使わないと表記できない音。この場合はG(ソ)の音)の響きを感じられます。

サビはコードもメロディーもほぼ同じですが、2コーラスは2回繰り返しです。最後になるにつれて音も多くなり、盛り上がりが最高潮に達したところで、バズ音のような効果音が入ります。サビのメロディーは非常に覚えやすく、病みつきになりそうです。しばらくはこのフレーズが頭の中を無限ループしていました。

後奏

|C#m7|D#m7|EM7|F#|C#m7|D#m7|EM7|F#|
|C#m7|D#m7|EM7|EM7|C#m7|D#m7|EM7|EM7|

後奏はⅡm→Ⅲm→Ⅳ→ⅤあるいはⅡm→Ⅲ→Ⅳの、ベースがだんだん上がりながら音量も徐々に上昇していく演出が何度か繰り返された後、サブドミナントコードの余韻を残しながら終了となります。

まとめ

水曜日のカンパネラの「松尾芭蕉」を耳コピ採譜しました。今日初めて楽曲を聴いて速攻で耳コピをしたので、細かい部分では間違いが多いかもしれません(特に、セブンスやナインスがつくかつかないかは、耳コピだけではほとんど区別がつきません)。

音楽コードとしては、(テンションコードを除けば)使用されている種類は少なく、単純なものが多いですが、アレンジや歌詞が独特で、高音も綺麗であることがあいまって、何度も聴き込んでしまいました。

コード譜を調べてギターなどで弾き語りをする、というようなタイプの楽曲ではないかもしれませんが、こういったジャンルの楽曲が存在するということでも知っていただければと思います。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク