Aqours「ジングルベルがとまらない」のコード進行解析と楽曲の感想


本記事では、2016/11/23発売のAqoursの楽曲「ジングルベルがとまらない」のコード譜と、音楽的な解説、および楽曲を聴いた感想を記していきます。

「ジングルベルがとまらない」の概要

本曲は、「ラブライブ!サンシャイン!!」に登場するアイドルグループAqoursのシングルで、スマホゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」用に作成された楽曲です。作曲者はAqoursではおなじみの光増ハジメ氏。タイトルの通り、クリスマスソング色の強いアレンジの楽曲となっています。

「ジングルベルがとまらない」のコード進行

●イントロ
|G|G|
|C|D|Bm7|Em|
|Am7|D7|Em|E|
|C|D|Bm7|Em7-5/B♭|
|Am7 G/B|C A/C#|
|Daug|Fsus4|

●Aメロ
|G|C|Bm7|Em|
|Bm7|E|Am7|D7|
|G|C|B|Em|
|Am7|D7|G|G|
|G|C|Bm7|Em|
|Bm7|E|Am7|D7|
|G|C|B|Em|
|Am7|D7|G|G|

●Bメロ
|C|C|Bm7|Em|
|Am7|D|G|E|
|C|D|Bm7|Em|
|Am7|Am7|A7|A7|
|D7|D7|B|B|

●サビ
|E|F#m7|G#m7|G#7|
|C#m|C#m|Bm7|E7|
|F#m7|B|G#m7|C#7|
|F#m|F#|B|B|
|E|E/D|C#7|C#7/F|
|A|B|G#m|C#|
|F#m|B|D G|C F|
|B|B|

●間奏(後奏?)
|G|G|
|C|D|Bm7|Em|
|Am7|D7|Em|E|
|C|D|Bm7|B♭|
|Am7 G/B|C A/C#|
|Dsus4|D|G|

クリスマスソングらしいアレンジで、アップテンポで明るい感じの楽曲です。楽曲の調はイントロ~BメロまでがGメジャー、サビがEメジャーなので、Bメロからサビに至る部分で転調が行われています。

この転調は#が3つ増えており、キーが3音下がっているため、「同主調」への転調です(厳密には「平行調」の「同主調」)。Bメロの最後に存在するBというコードは、転調前は、(Ⅲ)という比較的よく使われるノンダイアトニックコードとして働き、また、転調後の調においてはサブドミナント(Ⅴ)として働き、このコードが存在することによって転調に伴う違和感がほとんどなく、スムーズにEの長調に移行しています。

先に転調の話になってしまいましたが、各パートについても特徴的なコード進行がいくつかあるので、見ていこうと思います。

まずはイントロですが、C(Ⅳ)→D(Ⅴ)→B(Ⅲ)m7→E(Ⅵ)mという「王道進行」がメインの、典型的なコード進行かと思いきや、14小節目で突然聴きなれない和音が登場します。この部分は何度も繰り返し聞いて、Em7-5/B♭という判断を下しましたが、耳コピに自信があるわけではありません。Gメジャーの調において、E(Ⅵ)m7-5というコードも、B♭(Ⅲ♭)というルート音のコードも使用例はほとんどなく、多くの方がハッとするような、大変インパクトのある響きではないかと思います。

更に、イントロの最後のD(Ⅴ)aug→F(Ⅶ♭)sus4という進行も、大変珍しいコード進行です。Daugのところは使用例も多々あるかとは思いますが、その直後にFsus4(これも合っているかどうか定かではありません)というコードが登場するのは大変珍しいです。

続いて、AメロやBメロは、ノンダイアトニックコードも含みますが、比較的典型的なコード進行が多く使用されていますが、サビの最後の方では再度変わったコード進行が登場します。それが、「♪パーティーしたいじゃない」の最後で使用されているD→G→C→Fという部分です。この4つのコードは、いずれもEメジャーの調におけるダイアトニックコードではありません。

ルート音だけに注目すると、ちょうど完全4度(5音)ずつ上昇する進行になっていることがわかります。このようにルート音が完全4度ずつ上がる進行としては、Cメジャー調におけるDm7→G→C→Fのように、ノンダイアトニックが全く使われないものも多く、「ツーファイブ」と呼ばれたりします。理屈はわからないのですが、ルート音が完全四度上がる進行は、ノンダイアトニックかそうでないかに限らず安定する響きを与えることが多く、ノンダイアトニックなコードを4連続で使用しても調性が崩れないのは、この「ツーファイブ」の安心感に理由があるのかもしれません。

ちなみに、話は前後しますが、サビの最初の2コードはE(Ⅰ)→F#(Ⅱ)mと進むパターンで、サビの最初で使われるコード進行としては、使用例は少ない部類に属するパターンだと思われます。ラブライブ関連では、μ’sの「これからのSomeday」のサビと同じパターンとなります。

本曲のヴォーカルのキーは、最高音がサビの「レ」、最低音がAメロの「シ」で、音域は1オクターブ+3音かと思われます。

心地よく聴ける流れの中に、突如としてスパイスの効いたコードが登場する部分が多く、また、クリスマスソング特有の綺麗なアレンジが施された良曲だと思います。

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