℃-ute「夢幻クライマックス」のコード進行解析と楽曲の感想


本記事では、2016/10/14発売の℃-uteの楽曲「夢幻クライマックス」のコード譜と、音楽的な解説、および楽曲を聴いた感想を記していきます。

「夢幻クライマックス」の概要

本作は、ハロプロの5人組グループ℃-uteの30枚目のシングルです。9年前の2007年にメジャーデビューした当グループは、既に来年7月の解散が決まっています。

本曲は、ハロプロと関係が深いシンガーソングライターの大森靖子が作詞・作曲を担当し、アレンジは、ハロプロからアニソンまで幅広い楽曲のアレンジを務めてきた大久保薫氏。クラシックのピアノの名曲を含むちょっぴり変わったアレンジが使われており、歌詞にはメンバーの名前が盛り込まれたダンスナンバーです。

「夢幻クライマックス」のコード進行

●イントロ
|G#7|…
|C#m|C#m|G#/C|G#/C|
|C#/B|C#/B|F#m/A|A7|
|G#7|G#7|G#7|G#7|
|G#7|G#7|

●Aメロ
|C#m G#m|A E/G#|
|F#m E|F#m7 G#|
|C#m G#m|A E/G#|
|F#m E|D#m7-5 G# C#m・|

※Aメロ繰り返し

●間奏1
|C#m|C#m|G#/C|G#/C|
|G#7|G#7|

※Aメロ繰り返し

●Bメロ
|C#7|A|B|E|
|D#m7-5 G#|C#m B A・|
|F#m G#|C#m|C#m|

●サビ
|F#m7 B|E C#m|A G#|C#7|
|F#m7 G#|C#m B A・|
|D#m7-5 G#|C#m|

●間奏2
|C#m|C#m|G#/C|G#/C|
|C#/B|C#/B|F#m/A|A7|
|G#7|G#7|G#7|G#7|

※Aメロ繰り返し

※Bメロ繰り返し

※サビ繰り返し

●間奏3
|F#m|D|F#m|D#m7-5|
|G#7|G#7|G#7/C|G#7/C|
|G#7|G#7|G#7|G#7|

●ラスサビ
|F#m7 B|E C#m|A G#|C#7|
|F#m7 G#|C#m B A・|
|D#m7-5 G#|G#|C#7|
|F#m7 B|E C#m|A G#|C#7|
|F#m7 G#|C#m B A・|
|D#m7-5 G#|G#|C#m|C#m|

●後奏
|C#m|C#m|G#/C|G#/C|
|C#/B|C#/B|F#m/A|A7|
|G#7|G#7|G#7|G#7|
|G#7|G#7|

イントロ

イントロはショパンのピアノ練習曲ハ短調作品10-12、いわゆる「革命のエチュード」と非常によく似たピアノの演奏から始まります。更に、その直後から、今度はベートーベンのピアノソナタ第14番嬰ハ短調 作品27-2、いわゆる「月光」の第3楽章が使われています。

ちなみに、「月光」がアレンジとして用いられているポップスはかなりの数があり、たとえば、ビートルズの「Because」や、X JAPANの「ALIVE」では第1楽章が使わています。著作権的にはどうなのかという疑問があるかもしれませんが、作曲者の没後50年以上経過しているため、このようなアレンジをしても問題はないようです。

なお、本曲のキーはC#マイナーであり、「月光」の「嬰ハ短調」と全く同じ意味です。革命の「ハ短調」よりは半音高いキーなので、こちらは原曲から半音上げたアレンジがされています。音が細かすぎて判別が困難ですが、月光の方はほぼ原曲と同じ譜面で弾いているのに対して、革命エチュードの方は、キーだけでなく、譜面の方もオリジナルのアレンジが入っているような印象を受けました(違ったらごめんなさい)。

コードは、革命エチュードの部分はすべてG#7と判定しました。イントロの2段目のC#mからが、月光第三楽章の部分です。100年以上前のクラシックの楽曲にダンスミュージック系のアレンジが入り、女性アーティストが激しいダンスを踊るという、なかなか他では見られない試みと言えます。

Aメロ~Bメロ

Aメロが始まると、ピアノクラシック曲のアレンジは一旦消えて、通常の℃-uteやモーニング娘。の楽曲のようなアレンジになります。コード進行はC#m→G#mから始まる、極めて切ない印象が強いマイナー系の進行。作曲者の情報を知らなければ、つんく♂っぽい曲調と思ったかもしれません(実際には作曲したのは大森靖子です)。

Aメロの後半では、ボーカルとボーカルの合間に、ピアノの細かい旋律が差し込まれるようになります。これがオリジナルのものか、クラシック曲の一部なのかまでは判別できませんでした。

Aメロを2フレーズ歌うと、再度月光第三楽章に載せた間奏が始まり、更にAメロがもう1フレーズ流れます。2コーラスでは間奏はなく1フレーズだけです。ちなみに、1コーラスの3回目のAメロの冒頭の「♪シナリオ」の部分ではヴォーカルにかなりの加工がされています。

続いてBメロですが、C#(Ⅵ)→A(Ⅳ)→B(Ⅴ)→E(Ⅰ)というコード進行です。これは表記だけ見ると「小室進行」に近いのですが、最初のⅥがノンダイアトニックコードであるため、響きとしては大きく異なります。本曲は(というか原曲のソナタ月光などもそうなのですが)、ⅢやⅥといったノンダイアトニックコードが頻繁に登場し、その都度切なげな印象を演出しているのが特徴です。

サビ~

サビのコード進行はF#(Ⅱ)m→B(Ⅴ)という、ダンスポップでは割とよく使われているコード進行です。℃-uteのシングル曲だと、「アダムとイブのジレンマ」のサビが本曲のコード進行に割と近いです。サビでもC#(Ⅵ)というコードが存在感を放っています。

2コーラスのサビの直後からは、バイオリンらしき音も含んだ、ちょっぴり変わった感じの間奏が流れます。この部分はコード進行的にF#m→Dというように、F#マイナーに近い調性を感じるところですが、その後のコード進行を見る限りでは、ギリギリ転調はしていないかなと言った感じです。間奏の6小節目と8小節目にそれぞれ3回ずつハンドクラップが入るのがとてもいい感じで、思わず自分もクラップしたくなってしまうところです。

本曲のサビの最高音は、サビの「♪壊れないくらい」の部分で使用されている「レ#」、最低音はAメロなど数か所で使用される、2オクターブ下の「ソ#」となっています。

クラシック曲を現代風にアレンジした楽曲、というのはこれまでも何度も出てはいますが、ダンスチューンやアイドルソングを多く歌ってきたアーティストが、「月光」や「革命」のような暗い曲をアレンジしたものを歌いながら踊るというのはなかなか斬新でした。また、普通はシンガーソングライターが他アーティストに曲を提供すると、本人の楽曲と似たような曲ができることが多いのですが、本曲が大森靖子作、というのは、言われなければ絶対に分からなかったと思います。彼女の作曲家としての感性、引き出しの多さにも、改めて感心させらた1曲でした。

なお、本曲は歌詞にメンバーの名前が隠されているとのことでしたが、歌詞付きの公式動画見ても、全く分かりませんでしたw

一応歌詞を載せずにどの辺にあるかだけ書いておきますと、現メンバーの5人とも1コーラスのAメロに隠されており、中島だけはニックネームの「なっきー」を変化させた「泣き」という文字が含まれていて、非常にわかりづらいですが、他の4人はファーストネームがそのままの文字で含まれています。ただし、文の冒頭ではなく、文と文、あるいは単語と単語のつなぎ目だったりするので、意外と気づきにくいのではないかと思います。なお、2コーラスのAメロには、過去のメンバー3人の名前も隠されているようです。

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