本記事では、fhánaの楽曲「青空のラプソディ」のコード譜と、簡単な解説を書いていきます。コード譜は耳コピで行っておりますので、必ずしも正確である保証はありませんがご理解いただければ幸いです。
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「青空のラプソディ」の概要
本曲は2017/1/25発売のfhánaの10枚目のシングルで、アニメ「小林さんちのメインドラゴン」の主題歌。fhánaは、サウンドクリエーターの3名+女性ヴォーカルtowanaによる4人組のグループで、今回も高音で、譜割りの難しいアップテンポな楽曲です。
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「青空のラプソディ」のコード進行
●イントロ
|C7 F/C|C|C7 F/C|C|
|C7 F/C|C|C7 F/C|G|B♭|
●Aメロ
|E♭|E♭7|E♭|A♭M7 Fm7|
|E♭|D♭|Cm B♭|Fm7 Gm7|A♭M7 B♭|
●Bメロ
|B♭m7 E♭7|A♭M7 A♭7|
|G#m7 C#7|F#M7 F#7|
|F#m7 B7|EM7 C#m|
|AM7|B|C#|E♭|
●サビ
|A♭|Cm7|D♭M7|D♭m|
|Cm7|Fm|B♭m|E♭|
|A♭|Cm7|D♭M7|D♭m|
|Cm7 C7|Fm B♭7/D|
|E♭|E♭|E♭|
●間奏1
|A♭ A♭/G♭|D♭/F C#m/E|
|A♭ A♭/G♭|D♭/F C#m/E|
|A♭|B♭|
※Aメロ~サビ繰り返し
●Cメロ
|G♭|A♭|G♭|A♭|
|D♭/F A♭/E♭|B♭/D|
|B♭m7 A♭/C|D♭m|
|E♭|Gsus4|
●間奏2
|C7 F/C|C|C7 F/C|C|
|C7 F/C|C|C7 F/C|C|
|C7 F/C|C|C7 F/C|C|
|C7 F/C|C|C7 F/C|G|B♭|
|B♭m7 E♭|A♭M7 Fm|
|D♭M7 C7|Fm E♭/G A♭・|
|D♭ D♭m|Cm7 Fm|
|B♭m7 Cm7 D♭M7・|D♭m7 E♭m7 EM7・|
|G♭|E♭|
※サビ繰り返し
●後奏
|A♭ A♭/G♭|D♭/F C#m/E|
|A♭ A♭/G♭|D♭/F C#m/E|
コードもキーもメロディーも、目まぐるしく変化していく楽曲です。この曲を初めて聴いた時は、作った人も歌っている人もすごすぎる、と感心しました。いろいろ凄い部分はあるのですが、今回は、「転調」をメインに解説していきたいと思います。
本曲は、まずはCメジャー調のイントロから始まります。C7というコードが使われているのでFメジャー調との区別が難しいですが、Gがドミナント的な響きがあるのでCメジャーと判定しました。イントロではルート音をCに固定して、最高音をシ♭→ラ→ソと下降させているので、「クリシェ」の一種と呼べるかもしれません。
AメロからE♭メジャー調に転調します。これはキーが3つ上がるタイプの転調で、同主調(の平行調)への転調です。調の変わり目の部分では、特徴的なリズムのアレンジとともに、G→B♭というコードが奏でられています。これらは、それぞれCメジャー、E♭メジャーにおけるドミナントコードに対応しております。ドミナントコードはトニックコードを導出しやすい性質があるので、ドミナントコードを先に変更しておくことで、E♭の登場が違和感がなく達成できているわけです。このタイプの転調は、本曲では何回も登場します。
Bメロのキーは更に複雑です。コード譜を見てもたくさんのコードが登場しており、どのキーに属するのかがわかりにくいのですが、2小節ごとに転調しているとみるのがわかり易いのではないかと思います。すなわち、最初のB♭m7→E♭7→A♭M7→A♭7という部分はA♭調、G#m7→C#7→F#M7→F#7の部分がF#調、F#m7→B7→EM7→C#mの部分がE調と言った具合です。AメロからBメロの転調は、サブドミナントだったA♭がトニックにかあるので、「下属調」への転調です。そのあとは2音下がる転調が2回行われています。Bメロの1小節~2小節、3小節~4小節の部分は、ローマ数字表記で表せばいずれもⅡm7→Ⅴ7→Ⅰ△7→Ⅰ7となり、5小節目もⅡm7→Ⅴ7です。つまり、Bメロの5小節目までは、めちゃくちゃ複雑なように見えますが、「同じコード進行を、キーを2つずつ下げながら繰り返し演奏している」という法則性があることがわかります。
さて、Bメロは最終的にEメジャーに落ち着いたかに見えますが、最後のC#(Ⅵ)→E♭(Ⅶ)というコードによって、またもや別のキー変化することになります。C#(Ⅵ)だけなら比較的よくある手法で、この後にはキーが2つ上のF#メジャー調が来ることが予想されるのですが、ここでは更にE♭(Ⅶ)が登場することにより、もう一度キーが2つ上がります。2回にわたってキーが2つ上がりましたので、結果として、Bメロからサビに至る転調は、キーが4つ上がる、極めて珍しいタイプの転調という事になります。
サビと間奏が終わると、B♭を媒介としてAメロのE♭メジャー調に戻ります。これはドミナントがトニックに変わっていますので、属調への転調という事になります。
では、1コーラスのAメロから2コーラスのAメロに至るまでの転調の流れをまとめると以下のようになります。
Aメロ E♭メジャー
↓ 5音上げ(下属調)
Bメロ(1~2小節) A♭メジャー
↓ 2音下げ
Bメロ(3~4小節) F#メジャー
↓ 2音下げ
Bメロ(5小節以降) Eメジャー
↓ 4音上げ
サビ・間奏1 A♭メジャー
↓ 5音下げ(属調)
Aメロ E♭メジャー
上記以外にも、イントロからAメロへの転調(3キー上げ)や、Cメロから間奏への転調(A♭→Cなので、ここも4キー上げ転調です)もあり、息をつく暇もなく転調が行われています。ちなみに、Cメロのキーは、判断が難しいですが、サビと同じA♭メジャーと見なしても問題ないと思います(最初に登場するG♭は、ノンダイアトニックコードであるⅦ♭と判断)。
息つく暇もないのはヴォーカルも同じことで、高い音(最高音はCメロの「ファ」)を多く含んだ細かい節回しが、ほとんど休むことなく続く難曲です。この曲を機械的に歌えるだけでも、普通の人であれば十分すぎると思います。最初に述べたように、作った人も歌った人も、ただただ感心するばかりのとんでもない楽曲だと思いました。個人的に一番気に入ったのは、サビ終盤の「♪違う肌のコミュニケーション」から続く3小節です。
今後もたくさんの楽曲のコードを掲載していきたいと思いますので、当ページをよろしくお願いいたします。