HoneyWorks meets CHiCO&sana 「日曜日の秘密」のコード進行解析と楽曲の感想


本記事では、HoneyWorks meets CHiCO&sanaの新曲「日曜日の秘密」のコード譜と、音楽的な解説、および楽曲を聴いた感想を記していきます。

「日曜日の秘密」の概要

本曲は、10/26に発売される、アニメ映画「ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~」のDVD特典に収録される、同映画の挿入歌として使われていた楽曲です。

「日曜日の秘密」のコード進行

●歌い出し
|F B♭|C F|
|Dm7 B♭|C F|
|F B♭|C F|
|Dm7 B♭|C (N.C.)|

●間奏
|F B♭|C F|
|Dm7 B♭|C F|
上記4小節を2回繰り返し

●Aメロ
|F B♭|C F|
|Dm7 B♭|C F|
上記4小節を4回繰り返し

●Bメロ
|F B♭|C F|
|Dm7 B♭|C F|
上記4小節を2回繰り返し

●サビ
|B♭C|F Dm|
|B♭C|Dm C/E F・|
|B♭C|F Dm|
|B♭C|F|
|B♭C|F Dm|
|B♭C|Dm C/E F・|
|B♭C|F Dm|
|B♭C|F|
|(N.C.)|

※間奏繰り返し

歌い出し~前奏

ワン、ツーという可愛らしい囁き声から始まり、すぐに歌い出し(Aメロ)に入ります。ギターのコード弾きと同時に、シンセ系の高音の音色が8ビートを強調しており、ボカロの名曲「メランコリック」をほうふつとさせる歌い出しだと思いました

コード進行はF(Ⅰ)→B♭(Ⅳ)→C(Ⅴ)→F(Ⅰ)で、理論音楽でもおなじみの、スリーコードのみを使った、基本的なカデンツの1つです。後半は、最初のF(Ⅰ)のみD(Ⅵ)mに置き換えた「小室進行」と呼ばれる、これまた頻繁に使用されるコード進行です。本曲のコード進行は、サビを除くほとんどの部分が、Ⅰ→Ⅳ進行と小室進行の繰り返しからできています。

楽曲のキーはFメジャー(またはDマイナー)で、楽譜だと♭を1つだけ使う調です。公式動画(short ver.)で確認できる範囲では、転調は行われていません。

前奏はかなり細かい音が多いパートで、ギターの高音部の細かい演奏の他に、先ほどのシンセ系の音色も、楽譜を上から下へ周回するように16分音符を奏でて、明るくキラキラな感じを出すのに一役買っています。

Aメロ~Bメロ

Aメロは、歌い出しと同じです。ちなみに、コード進行自体は極めて典型的なものばかりが使用されていますが、4,8小節目のCのところ(「♪朝の電車」や「♪意気地なし」等の部分)では、ヴォーカルのメロディーで「ソ#」の音が使われているため、コードとしてはCよりはCaugに近い響きになっています。

Bメロは、2拍ごとにギターのパワーコードをオンオフする変わったアレンジのパートです。この部分でも、高音シンセの音色が存在感を発揮しています。

コード進行的にはAメロもBメロも全く同じですが、アレンジが大きく異なるため、違うパートが始まったということをハッキリ感じ取ることができます。

サビ

サビでようやくコード進行が変わります。サブドミナントのB♭(Ⅳ)と、ドミナントのC(Ⅴ)の2コードで始まる「王道進行」の仲間で、非常に多くの楽曲で使用されるコード進行のパターンです。

3~4小節目(「♪電話していいですか」)では、ルート音がB♭からFまで滑らかに上昇するテクニックが使われています。途中のC/Eという分数コードがポイントで、ここを単にCだと、ルート音が安定せず、ちょっとせわしない感じがするかもしれません。分数コードが使用されている箇所は、ルート音だけに着目した時に滑らかなメロディーを奏でている場合が多いです。ギターやピアノで弾く場合も、できるだけ最低音が徐々に上がるような押さえ方で弾いていただくと、このフレーズの良さが出ると思います。

さて、出だしからサビまで、使用されたコードを全て挙げると、スリーコードのB♭、C、Fと、マイナートニックのDmの全部で4つだけです(セブンスやルート音違いによる転回形は除く)。使われるコードの種類が非常に少ないことは、CHiCO with Honeyworksの「カヌレ」や「ウルフ」の記事でも触れましたが、Honeyworksの楽曲における特徴の1つと言えるかもしれません。

コードの種類が少ないと、退屈な楽曲にもなりかねないのですが、本曲を含め、Honeyworksの楽曲は、アレンジ、メロディー、歌詞、ヴォーカルなどの要素がいずれも秀逸なため、ありふれたコードばかりでもインパクトや変化を感じる部分が多く、アレンジやコードを解析する立場としては非常に勉強になる楽曲ばかりです。

ちなみに、本曲のヴォーカルの最高音は「♪タイミング」の「イ」の部分で歌われている、「ファ」です。全体的にはそれほど高いキーの曲ではないもの音、この「ファ」の部分だけがズバ抜けて高い構成になっているので、この部分をどのように歌うかが1つのポイントとなるでしょう。

歌詞では、若い男女の初々しくぎこちない恋愛感情を歌っていて、コード進行と同様にわかり易くストレートな表現が多い、非常に前向きな楽曲という印象を受けました。聴いているだけでニヤニヤしてきそうな歌詞で(とは言っても、僕自身は歌詞のような恋愛をする年齢ではありませんがw)、楽しい曲調も相まって、「カヌレ」等とともに、最近のお気に入りの楽曲です。

その、「カヌレ」と「ウルフ」についてもコード進行解説の記事を書いていますので、興味があればぜひ読んでみてください。

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