miwa「結 -ゆい-」のコード進行解説と感想


本記事では、2016/10/5発売のmiwaの新曲「結 -ゆい-」のコード進行と、音楽的な解説、および楽曲を聴いた感想を記していきます。
miwaのホームページキャプチャ画像
画像引用元:©miwa official website

「結 -ゆい-」の概要


本曲はmiwaの21作目のシングルで、NHK「みんなのうた」で放送されている他、第83回NHK全国学校音楽コンクール(通称Nコン:合唱のコンクールです)の中学校の部における課題曲となっております。

PVでは本人によるピアノ演奏とオーケストラをバックに力強い歌唱を見せています。

「結 -ゆい-」のコード進行

イントロ

|G/B C|G D|G/B C|D・・B|

イントロは前2小節はピアノのみ、後ろ2小節がピアノ+弦楽器の静かな伴奏です。コード進行はⅠ/Ⅲ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴと、スリーコードのみを使った基本的な進行ですが、最初は分数コードが使われていることがちょっとした工夫となっています。

分母を無視して単にG→C→G→Dと続くと、平凡な感じがするかもしれませんが、最初のコードだけルート音を変えることで、1小節目のGと2小節目のGの部分で、ちょっとだけ響きが違います。したがって、実際に3つしかコードが使われてなくても、第4のコードが存在するかのように聴こえます。

なお、楽曲のキーはGメジャー(またはEm)です。

Aメロ

|Em|C|G|D・・B|Em|C・・G/B|Am7 D|Gsus4 G|

イントロの最後に登場した非ダイアトニックコードであるⅢ(B)が、強いセカンダリードミナントモーションによって、Ⅵm(Em)というコードを誘導したため、Aメロは短調(マイナー調)の「小室進行」が使われています。

イントロがGメジャーのキーで、AメロはEマイナーのキーであるため、厳密に言えば「平行調」への転調と見なせるかもしれませんが、調号が変わるわけではないので、ポップスにおいてはこのタイプの変化は、「転調」とみなさなくても良いかと思います。

Aメロの最後ではⅠsus4→Ⅰ(Gsus4→G)と、sus4からメジャーコードに変わるテクニックが用いられています。sus4を使わなくても不自然ではないのですが、完結感を後回しにしてじらすようなニュアンスで、この手法は多くの楽曲で使われています。

Bメロ

|C D|Bm7 Em|Am B7|Em・・G/D|C D|Bm7 Em|F|D|

BメロはⅣ→Ⅴ→Ⅲm→Ⅵmといういわゆる「王道進行」。その次のⅡm→Ⅲ→Ⅵmという進行もセットでよく使われます。

最後の方でⅦ♭(F)というコードが登場しています。ここは、無難に行くならⅣ(C)でも問題ないところですが、ルート音がスケール外の非ダイアトニックコードであるⅦ♭を使用することで、聴き手を「おっ」と思わせることができます。サビ直前の一番の盛り上がりを見せる場所でこういう特殊なコードを入れるのは、非常に効果的だと思います。

サビ

|G/B C|G・D B/D#|Em C|Dsus4 D|
|G/B C|Dm G|C Am|G/D D|
|Am7|G/B|C#m7-5|G/D D|

オーケストラの演奏とmiwaの透き通るような高音がかみ合って、非常に綺麗なハーモニーを感じるパートです。

まず、最初の2小節はイントロのⅠ/Ⅲ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴと同じ進行ですが、最後の1拍のⅢ/Ⅴ#(B/D#)により、3小節目のⅥm(Em)の登場を自然なものにしています。

4小節はAメロのところで述べた、同一ルートのsus4とメジャーコードの組み合わせですね。先ほどはトニックコードで、解決感をじらすような働きがあると書きましたが、今回はドミナントコードで、ドミナントのsus4は次のコードをより強調する働きがあります。ドミナント自体にもトニックを強調する働きがありますから(ドミナントモーション)、この部分はⅤsus4がⅤを強調し、ⅤがⅠを強調するという二段構えになっていると言えるかもしれません。まあ、そんな難しく考えずとも、トニックとドミナントのいずれにおいてもsus4→メジャーコードという進行は非常に効果的という事が言えます。

6小節目のⅤm(Dm)はちょっと珍しいです。ここではⅤ(D)を使う方が響きとしては自然ですが、あえて非ダイアトニックコードを使うことで違和感を出しています。これは、Bメロの最後の方に出てきたⅦ♭(F)と似たような意味です。

コードを耳コピするときは、この「違和感」を感じることが大事で、「違和感を感じたら非ダイアトニックコードがある」と考えてほぼ間違いありません。もちろん、違和感とはいっても、不快感や不協和音といった意味で言っているのではなく、「ハッとする」「特殊な感じがする」といった良い意味での感覚のことです。

最後から2個目の小節で出てくるⅣ#m7-5(C#m7-5)も同じですね。やはり非ダイアトニックによる独特なインパクトがある部分です(もしかしたらA7かもしれませんが、C#m7-5と響きはほとんど同じです)。

なお、ヴォーカルの最高音は「レ」であり、サビの1小節目と5小節目に登場しています。

間奏

|G/B C|G D|G/B C|D・・B|

間奏はイントロと同じコード進行と思われます。

まとめ

miwaの「結 -ゆい-」をコード譜を耳コピしました。澄み渡るヴォーカルと、弦楽器の響きがマッチして、非常に聴き心地が良い楽曲でした。コード進行もところどころに非ダイアトニックコードが散りばめられており、平凡な印象を受けないように工夫されていると思います。NHKの合唱コンクールでは、全国の中学生たちがどのような唱和を見せてくれるのでしょうか。

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