これまで、AKB48、B’z、Mr.Children、SMAP、嵐など、日本の様々なビッグアーティストの楽曲で、よく使われているコード進行を解析してきました。
今回は、水樹奈々の楽曲について、コード進行を初めとした解析を行っていきたいと思います。なぜB’z、ミスチル、ジャニーズときて水樹奈々で集計しようと思ったかというと、僕の趣味です(笑)。
水樹奈々は1997年に声優としてデビューし、2000年には歌手としてCDも発売しました。デビューから数年は全く売れない状態が続きましたが、徐々に知名度を上げていき、アニメ「魔法少女リリカルなのは」関連の楽曲である「innocent starter」や「ETERNAL BLAZE」などが大ブレイク。その後は声優出身アーティストによる初めてのオリコン1位や紅白歌合戦の出演なども達成。現在はアニメ、ライブ、ラジオ、テレビ等様々な分野に登場し、アニソンの歌手としては第一人者とも言えるほどになっています。
アニソン・声優系では以前、ラブライブ関連の楽曲でコード進行の解析を行いましたが、水樹奈々は同じ分野とは言え楽曲の傾向は大きく異なるので、どのような傾向を見せるか非常に楽しみでもあります。
目次
集計対象曲および諸注意
集計対象は、2016年7月までに発売されたソロシングル曲の1曲目(34曲)と、T.M.Revolutionとのコラボの2曲を合わせた計36曲とします。アルバム曲やキャラソンでも人気曲は多くあるのですが、本集計では含めないものとします。
当サイトでは以下のリンク先に書いた「2コード分類法」によって各楽曲をパターン別に分類します。
最初の2コードで分類する方法をとるので、他のサイトとパターンの判定が異なることがありえます。また、サビの後半と前半で異なるパターンが使われていても、前半のもののみを集計に含めています。また、各曲のコード進行は、他サイトやバンドスコアからの転載ではなく、全て僕の耳コピによるものです。中には聞き取りが難しく、正しいかどうか自信が持てないものも存在しますが、その点はご了承ください。
水樹奈々のシングル曲で使われたコード進行ランキング
1位 Ⅳ→Ⅴパターン(王道進行)13曲
- suddenly ~巡り合えて~
- New Sensation
- innocent starter
- SUPER GENERATION
- Astrogation
- Trickster
- 深愛
- PHANTOM MINDS
- METRO BAROQUE
- BRIGHT STREAM
- エデン
- 革命デュアリズム
- Preserved Roses
水樹奈々のシングル曲のサビの最初の2つのコード進行では、Ⅳ→Ⅴと進む王道進行がダントツに多いという結果になりました。T.M.Revolutionとのコラボは2作品ともこの進行となっています。Ⅳ→Ⅴの後はⅢmと進むものだけでなくⅥmと進む楽曲も多く見られます。嵐の時のように発売時期による偏りは感じられず、まんべんなくこのコードが使われている印象があります。
2位 Ⅵm→Ⅴパターン 7曲
- LOVE & HISTORY
- still in the groove
- SECRET AMBITION
- MASSIVE WONDERS
- Silent Bible
- Synchrogazer
- 禁断のレジスタンス
意外なことに、水樹奈々で使われたコードの2位はⅥm→Ⅴのパターンでした。このあとⅣと進むものはサイトによっては小室進行と呼ぶこともあります。これまでに集計したアーティストの中でこの進行が比較的多かったのは、B’zくらいであり、それ以外では決して多いとは言えなかったのですが、水樹奈々のコード進行で2位に来たのは意外に思います。
3位 Ⅵm→Ⅳパターン(小室進行) 5曲
- The place of happiness
- WILD EYES
- ETERNAL BLAZE
- Justice to Believe
- Exterminate
3番目に多いのが小室進行でした。「ETERNAL BLAZE」や「WILD EYES」などの代表曲がこのパターンのため、集計前はこれが1位になるのではないかと思いましたが、小室進行とよく似たⅥm→Ⅴパターンと分散してしまったこともあるのか、5曲にとどまりました。
4位 Ⅵm→Ⅲmパターン 4曲
- 想い
- SCARLET KNIGHT
- 純潔パラドックス
- Vitalization
4番目に多いのがⅥm→Ⅲmパターンでした。このパターンは2位になったⅥm→Ⅴと音楽的に似ており、もしかしたら分類を誤っているものもあるかもしれません。2位~4位までマイナーコードから始まる進行であり、また、1位の王道進行も音楽理論ではマイナー調に属するものが多いため、水樹奈々の楽曲のほとんどがマイナー調の楽曲であるという事が言えます。
多くの声優が明るくキャピキャピした曲を出す中、彼女はクールでカッコいい楽曲を多く世に送り出していることが、コード進行を見ることでも見て取ることができます。
1曲のみのパターン
- Ⅰ→Ⅲmパターン ・・・POP MASTER
- Ⅰ→Ⅴパターン(カノン進行)・・・ Heaven Knows
- Ⅰ→Ⅶm7-5パターン ・・・Angel Blossom
- Ⅱm→Ⅴパターン ・・・パノラマ-Panorama-
- Ⅳ→Ⅲパターン・・・STARTING NOW!
- Ⅳ→Ⅳmパターン・・・POWER GATE
- Ⅵm→Ⅱmパターン・・・夢幻
上位4パターン以外は、全て1曲のみで内訳は以上の通りでした。特筆すべきはカノン進行が1曲しかなかったことでしょう。これまで集計したアーティストではいずれもTOP3に入っていたのですが、ここまで極端な結果になるのは驚きでした。また、多くのアーティストで上位に入ったⅠ→Ⅳという進行は1曲もありませんでした。
それから、珍しいコード進行を1つ挙げるとすれば、ライブの定番曲である「POWER GATE」です。この曲のサビはⅣ→Ⅳmと推移しており、同じベース音から成る2つのコードを連続して使うというのは、途中で使われることはよくあるのですが、サビの先頭では非常に珍しいと言えます。Ⅳ→ⅣやⅣ→Ⅴでもよかったところ、あえてこのような進行にすることで、とても不思議な響きを醸し出しています。
まとめ
水樹奈々の楽曲のサビでよく使われるコード進行は王道進行で、その次にはマイナーコードから始まるコード進行が並びました。他のほとんどのアーティストで上位3位には入る頻度で使われた「カノン進行」は、水樹奈々においては1曲しか存在せず、マイナー調の楽曲の割合も非常に多いなど、他アーティストと明らかに違う傾向を見せる結果となりました。
次回もアニソン系の歌手で集計をしてみようかなと思います。