本記事では、2016年9月21日発売の西内まりやの新曲「BELIEVE」のコード進行と、音楽的な解説、および簡単な感想を書いていきます。
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「BELIEVE」の概要
本曲は西内まりやの6作目のシングル曲で、自身が主演する映画「CUTIE HONEY -TEARS-」の主題歌となっております。
アコースティックギターの音が良く響く、ゆったりとしたバラード曲です。2016年9月11日現在、作曲者に関する情報はなく、誰が作曲しているかも気になるところです。
動画は公式のもので、2コーラスまで視聴ができますので、当記事のコード譜も2コーラスの終りまで記載いたします。
「BELIEVE」のコード進行
イントロ
イントロはアコースティックギターのアルペジオと、もう一つ弦楽器のような音の2種類だけが鳴る、非常に静かでゆったりした演奏から始まります。
音が少ないため、1つ1つの音の重みが大きく、コードの感情に与える影響は大きくなっています。
コードではナインスの音を多用しています。例えば、Aならば「シ」の音、C#mなら「レ#」の音が、それぞれの響きを特徴づけています。
また、C#m(add9)というコードが自然な響きで聴こえることから、本曲のキーはAではなくてC#マイナー(またはEメジャー)であることがわかります。視聴できる範囲において、転調はしていません。
実際に原曲に忠実に演奏するのであれば、コードストロークよりもアルペジオの方が良いでしょう。ただし、アルペジオのタブ譜を載せてしまうのは著作権的にまずいので、アルペジオに挑戦したいという方は頑張って耳コピをしてみてください。(PVで本人が抑えているギターコードも参考になるかと思います)。一応TAB譜を耳コピするにあたってのヒントを挙げるとすれば、本曲のイントロとAメロのアルペジオに関しては、掲載しているコードの構成音以外の音は、一切使われていないということが言えます(たとえばC#m7(add9)と記載した部分では、ド#,ミ,ソ#,シ,レ#の5音の組み合わせのみで演奏できるという意味です)。
Aメロ
|A(add9)|C#m7(add9) B|A(add9)|C#m7(add9) B|A B|
本曲にはBメロにあたるような部分はなく、メロディーとサビが交互に現れる構成になっています。1コーラスのAメロはアコギとヴォーカルだけから成る、アコースティックなパートです。コード進行および演奏法はイントロとほぼ変わらないと思われます。
アコギでコードチェンジの際に聞こえる、弦をこするような特徴的な音も、はっきりと聞こえることができます。西内まりやの楽曲は、本曲以外でも、1コーラスまでは楽器の音が非常に少ないものが多いと言えます。
サビ
|E F#m|C#m B|A・・E/G#|F#m7・・G#m|A|F#m7 B|
サビではギターの演奏がアルペジオからコードストロークに変わります。
コード進行はE→F#m→C#m→Bの繰り返しで、数字で表せばⅠ→Ⅱm→Ⅵm→Ⅴと進むパターンです。
Ⅰ→Ⅱmというコード進行は、それ自体では珍しくはないのですが、サビの最初の2つとして用いられるのは割と珍しい方だと思います(Ⅰから始まるコード進行としては、Ⅰ→Ⅴ、Ⅰ→Ⅲm、Ⅰ→Ⅲ、Ⅰ→Ⅳ、Ⅰ→Ⅵm等が多く、Ⅰ→Ⅱmはそれらに比べると相当少ないイメージがあります)。
ヒット曲でこのパターンの例を挙げると、aikoの「カブトムシ」やミスチルの「CROSS ROAD」等が挙げられます。ただし、これらの2曲は3つ目のコードがⅢmであり、Ⅰ→Ⅱm→Ⅵmという3コードまで含めると、同じ進行を持つ楽曲は相当少ないのではないかと思われます。
コード理論のルールに反するわけではないのに、あまり使われない理由としては、おそらく「盛り上がらない」という理由が大きいのではないかと思いますが、本曲は、盛り上げるというよりはヴォーカルで聴かせることが主眼の楽曲と思われますので、必ずしも売れセンのコードを追いかける必要はないという事でしょう。
2コーラスもイントロ→Aメロ→サビでコード進行は同じですが、他の楽器も入り、リズムもはっきりしてきます。特に、2コーラスのサビは多くの楽器が入り、非常にインパクトを感じる部分になります。
2コーラスのメロディーに注目すると、サビへの入り方が1コーラスと若干異なります。1コーラスではミ→レ#と音を下げながらサビに入っていったのに対して、2コーラスではミ→ファ#と上がり気味に入ります。後者の方が、よりサビを強調するメロディーになっているイメージがあります。
なお、2コーラスまでではヴォーカルの最高音は「シ」です。キー的にはそれほど高い楽曲ではありませんが、とにかくヴォーカルが目立つ楽曲なので、歌われる場合は心を込めて1音ずつ丁寧に歌うことをお勧めします。
まとめ
西内まりや「BELIEVE」のコード進行を耳コピにより採譜しました。イントロやメロディーはナインスの音の響きが特徴的です。決して売れセンのコード進行というわけではありませんが、ヴォーカルの力強さがそれを補って余りあります。特に、2コーラスのサビに入るところは胸に来るものを感じました。