ポルノグラフィティ「LiAR」のコード進行解析と楽曲の感想


本記事では、2016/11/9発売のポルノグラフィティの楽曲「LiAR」のコード譜と、音楽的な解説、および楽曲を聴いた感想を記していきます。

「LiAR」の概要

本曲は、ポルノグラフィティの44作目のシングルで、日テレの「スッキリ!!」のテーマソングとして使用されています。作詞・作曲はともにハルイチ。

「LiAR」のコード進行

●サビ(歌い出し)
|Em|Em|B|B|Em|Em|B|(N.C.)|

●間奏1
|Em|Em|B|B|Am|Am|B|Em|
|Em|Em|B|B|Am|Am|B|Em|

●Aメロ
|Em|D#aug|G/D|A|
|F|Em|F#m7-5 B|Em|

●Bメロ
|D Em|D Em|D Em|
|F#m7-5|B|(N.C.)|

●サビ(1コーラス)
|Em|Em|B|B|Am|Am|B|C B|
|Em|Em|B|B|Am|Am|B|C B|

●間奏2
|Em|Em|B|B|Am|Am|B|Em|…

本曲は、ラテンミュージック色が強い楽曲です。ポルノグラフィティの楽曲ではこのような曲調が多く、たとえば「アゲハ蝶」「サウダージ」「ジョバイロ」「オー!リバル」といったヒット曲が近い曲調の楽曲と言えるでしょう。

…と、「ラテンミュージック」という言葉を当たり前のように使いましたが、実際に、それがどんな音楽なのかと言われると、答えるのはなかなか難しいです。直訳すれば厳密な定義としては「中央・南アメリカ大陸の音楽」という事になるのでしょうが、日本で「ラテンミュージック」と言って一般にイメージされるのは、サンバ、サルサ等の中でも特に、哀愁漂うコード進行を、ノリのいいリズムで奏で、情熱的に歌い上げる(あるいは演奏する)ような楽曲ではないでしょうか。したがって、「ラテンミュージックとはどんな曲?」と言われたら、「『アゲハ蝶』や『サウダージ』のような楽曲」、と答えておけば、(日本においては)間違いではないかもしれません。

ちょっと話がわき道にそれましたね。さて、本曲のキーですが、Eマイナーで、楽譜だと#が1つの調です。ギターでもピアノでもとても弾きやすいコードばかりが登場します。

上記で挙げた4曲がすべてそうであるように、本曲もマイナートニックコード(Em=Ⅵm)で始まります。その次のコードはB(Ⅲ)というノンダイアトニックコードで、Ⅵm→Ⅲというパターンは、本曲のような曲調の楽曲では頻出のコード進行です(ノンダイアトニックとは言いましたが、「メロディックマイナースケール」や「ハーモニックマイナースケール」といったスケール上では通常のコード扱いであり、マイナー調の楽曲では違和感が少ないコードなのです)。

Aメロでは、最初の3小節でルート音をE→D#→Dと半音ずつ下げるテクニックが使われています(同時に、上部を固定した「クリシェ」でもあります)。5小節目ではF(Ⅶ♭)というコードでインパクトを出しており、似たようなコードは「サウダージ」や「アゲハ蝶」等でも見ることができます。それから、AメロとBメロでともに用いられているF#(Ⅶ)m7-5→B(Ⅲ)という進行は、2コードで1セットの頻出のペアで、次にⅥmあるいはⅣから始まるマイナー調のフレーズを強く誘導する働きがあります。

なお、ヴォーカルの最高音は(公式のショートバージョンの範囲内では)サビの「♪きずあ~と」の部分等で使用されている「ラ」、最低音はAメロの「ミ」で、音域は1オクターブ+5音となります。

個人的な感想としては、Bメロの「♪パッパッパヤ~」(?)という掛け声のような部分が3回続いてからのサビへの導入部分が、前後のパートとの変化が感じられ、とても気に入りました。他には、打ち込みのような音色の打楽器が織り成す、ノリの良さが心地よいです。常に細かいフレーズを弾いているベースの演奏も素晴らしいと思います。

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