当ブログでは様々なアーティストについて、頻繁に使われるコード進行の傾向を解析していますが、今回は、2016年度の売上が上位100位以内となるシングル曲について、使用されたコード進行の分析を行ってみました。
目次
集計対象曲および諸注意
集計対象とする曲は、オリコンのシングルチャートで、2015年12月から2016年11月の間の累計売上枚数が100位以内であったシングルの1曲目の楽曲となります。
シングルの売上枚数のみから100曲をピックアップしているため、世間における楽曲の人気度と必ずしも一致しているわけではないことはご了承ください。また、シングルCDとしての媒体で発売されていない楽曲は、2016年に広く一般に認知された楽曲であっても、当記事の集計対象外となっております(例「前前前世」「海の声」等)。また、売上期間により抽出を行っているため、2015年以前に発売された楽曲も含まれております。
コード進行の分類は、僕のオリジナルの方法である「サビの最初の2つのコードのみで、曲を分類する方法」により行っています。詳細は下記の記事で書いています。
サビの最初の2つのみに注目した方法であるため、「王道進行」や「カノン進行」といった用語の定義が他のサイトと若干異なることがありますがご了承ください。また、コードそのものの聞き取りミスや、「サビ」がどこであるかの認識の違いにより、必ずしもこの集計結果が正しいと保証できるものでもありませんのでご注意ください。
同じ順位での楽曲一覧は、売上が上位の順に並べています。具体的な売り上げ枚数については、オリコン公式サイトでの発表が未であるため、ここで掲載するのは控えさせていただきます。
2016年に売れたシングル曲で使われたコード進行ランキング
1位 Ⅳ→Ⅴパターン(王道進行)24曲
- AKB48「君はメロディー」
- 嵐「Power of the Paradise」
- 欅坂46「二人セゾン」
- NMB48「君はいない」
- Hey!Say!JUMP「真剣SUNSHINE」
- 関ジャニ∞「罪と夏」
- KinKi Kids「道は手ずから夢の花」
- NEWS「ヒカリノシズク」
- KAT-TUN「TRAGEDY」
- ジャニーズWEST「人生は素晴らしい」
- Sexy Zone「よびすて」
- ジャニーズWEST「逆転Winner」
- モーニング娘。「泡沫サタデーナイト!」
- EXILE「Joy-ride~歓喜のドライブ~」
- GENERATIONS from EXILE TRIBE「涙」
- ACE OF SPADES×PKCZ(R) feat.登坂広臣「TIME FLIES」
- BTOB「L.U.V」
- 藤原さくら「Soup」
- 安室奈美恵「Hero」
- SHINee「君のせいで」
- Flower「やさしさで溢れるように」
- コブクロ「未来」
- ももいろクローバーZ「ザ・ゴールデン・ヒストリー」
- L’Arc~en~Ciel「Wings Flap」
2016年の売上TOP100のシングルのサビで最も使用されたコード進行は、Ⅳ→Ⅴと進むパターンでした。一般に「王道進行」と呼ばれるⅣ→Ⅴ→Ⅲm→Ⅵmの他に、Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ、Ⅳ→Ⅴ→Ⅵmと進むものも含んでいます。多くのアーティストにおいて、この進行は1位か2位の使用率を誇っており、J-POPにおいては定番の進行と言っていいでしょう。
2位 Ⅰ→Ⅴパターン(カノン進行)15曲
- 乃木坂46「裸足でSummer」
- 乃木坂46「ハルジオンが咲く頃」
- 欅坂46「世界には愛しかない」
- Hi-STANDARD「ANOTHER STARTING LINE」
- 関ジャニ∞「パノラマ」
- NEWS「恋を知らない君へ」
- μ’s「MOMENT RING」
- V6「Beautiful World」
- BTOB「Dear Bride」
- Flower「瞳の奥の銀河」
- Aqours「青空Jumping heart」
- E-girls「E.G. summer RIDER」
- 三山ひろし「四万十川」
- WANIMA「ともに」
- ラブ・クレッシェンド「コップの中の木漏れ日」
Ⅰ→Ⅴと進行する「カノン進行」が2番目の使用率でした。AKB48グループのみで集計した際はダントツの1位を誇ったコード進行ですが、今年は肝心のAKB48が、これまでと変わった曲調のシングルをリリースしたこともあり、1位の王道進行とは差がついてしまいました。
なお、レコチョクで上半期1位、2位になりながら、「シングル1曲目」という条件を満たさないことから、本記事の集計からは漏れてしまった「海の声」や「365日の紙飛行機」などもこの進行です。
3位 Ⅵm→Ⅳパターン(小室進行)8曲
- 嵐「復活LOVE」
- 欅坂46「サイレントマジョリティー」
- SKE48「金の愛、銀の愛」
- NMB48「甘噛み姫」
- BOYS AND MEN「YAMATO☆Dancing」
- KAT-TUN「UNLOCK」
- 桑田佳祐「ヨシ子さん」
- 米津玄師「LOSER」
3位は3パターンあります。そのうちの1つは、「王道進行」「カノン進行」ともにJ-POPの3大コード進行の1つに数えられる「小室進行」でした。3位は同率ではありますが、これで「3大コード進行」が上位3位までを独占した結果になります。
なお、シングル曲でないため集計対象からは漏れましたが、大人気映画「君の名は。」主題歌の「前前前世」はこのパターンです。
3位 Ⅵm→Ⅰパターン 8曲
- AKB48「LOVE TRIP」
- SKE48「チキンLINE」
- 関ジャニ∞「NOROSHI」
- EXO「Coming Over」
- THE YELLOW MONKEY「砂の塔」
- 稲葉浩志「羽」
- iKON「DUMB&DUMBER」
カッコいい系の楽曲で多く使われるⅥm→Ⅰパターンが同率の3位でした。これまでの集計では、このコード進行が上位になったことは珍しく、意外な感じがします。
3位 Ⅵm→Ⅱmパターン 8曲
- Hey!Say!JUMP「Fantastic Time」
- KinKi Kids「薔薇と太陽」
- モーニング娘。’15「冷たい風と片思い」
- BOYS AND MEN「BOYMEN NINJA」
- BiBi「錯覚CROSSROADS」
- VOICE by トト子「SIX SAME FACES ~今夜も最高!!!~」
- 水森かおり「越後水原」
- 林部智史「あいたい」
哀愁系の楽曲で多いⅥm→Ⅱmも同率の3位でした。2015年度までのAKB48系の楽曲では、4位の使用率を誇ったパターンですが、今年に関してはAKB48系の楽曲は存在していません。にもかかわらず、同率3位となる等、J-POPにおいては人気が高いパターンと言えるでしょう。
6位 Ⅰ→Ⅳパターン 6曲
- 乃木坂46「サヨナラの意味」
- SMAP「世界に一つだけの花」
- Sexy Zone「カラフルeyes」
- THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS「ハイファイ☆デイズ」
- 山内惠介「流転の波止場」
- SEKAI NO OWARI「Hey Ho」
明るい印象を持つⅠ→Ⅳパターンが6位でした。こちらも多くのアーティストで上位になっているコード進行です。
なお、コード進行とは関係ありませんが「世界に一つだけの花」は、2003年にされた楽曲にも関わらず、2016年だけで44万枚を売り上げ、年間12位にランクインしています。理由は皆さんご存知だと思います。
7位 Ⅰ→Ⅲmパターン 5曲
- AKB48「翼はいらない」
- HKT48「最高かよ」
- Kis-My-Ft2「Sha la la☆Summer Time」
- 星野源「恋」
- Sexy Zone「勝利の日まで」
カノン進行に部分的によく似たⅠ→Ⅲmが7位でした。明るめの楽曲が多くリストアップされています。
その他のパターン
Ⅰ→Ⅵmパターン(3曲)
- HKT48「74億分の1の君へ」
- 氷川きよし「みれん心」
- 桑田佳祐「君への手紙」
Ⅳ→Ⅲパターン(3曲)
- モーニング娘。’16「セクシーキャットの演説」
- 2PM「Promise(I’ll be)」
- SUPER JUNIOR「Devil」
Ⅵm→Ⅱパターン(3曲)
- AKB48「ハイテンション」
- 嵐「I seek」
- EXILE THE SECOND「YEAH!! YEAH!! YEAH!!」
Ⅵm→Ⅴパターン(3曲)
- Kis-My-Ft2「Gravity」
- ShuuKaRen 「UNIVERSE」
- ワルキューレ「一度だけの恋なら」
Ⅰ→Ⅱmパターン(2曲)
- VOICE by イヤミ「SIX SAME FACES ~今夜は最高!!!~」
- Aqours「ジングルベルがとまらない」
Ⅰ→Ⅲパターン(2曲)
- Aqours「恋になりたいAQUARIUM」
- BOYS AND MEN「Wanna be!」
Ⅱm→Ⅴパターン(2曲)
- lily white「思い出以上になりたくて」
- ℃-ute「夢幻クライマックス」
Ⅳ→Ⅱmパターン(2曲)
- 防弾少年団「RUN」
- GENERATIONS from EXILE TRIBE「PIERROT」
Ⅵm→Ⅲmパターン(2曲)
- 三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「Welcome to TOKYO」
- アンジュルム「次々続々」
1曲のパターン
- Ⅰ→Ⅶ♭パターン…SUPER☆GiRLS「ラブサマ!!!」
- Ⅰ→Ⅳ7パターン…℃-ute「何故、人は争うんだろう」
- Ⅳ→Ⅰパターン…安室奈美恵「Dear Diary」
- Ⅴ→Ⅵmパターン…E-girls「Pink Champagne」
3曲以下のパターンは以上の通りです。Ⅳ→Ⅰ、Ⅵm→Ⅲm、Ⅰ→Ⅲ等は、決して少ないイメージではないのですが、今年はたまたまなのか、少数派となりました。
「Pink Champagne」のⅤ→Ⅵmや、「何故、人は争うんだろう」のⅠ→Ⅳ7等は、J-POP全体として見ても、かなり珍しいコード進行であると思います(あくまで、「サビの先頭としては」ですが)。
まとめ
2016年にヒットした100曲について、コード進行の解析を行いました。結果としては、アーティスト別に集計を行った際と傾向は似ており、J-POPの三大進行は相変わらず使用率が高いということがわかりました。
今後も様々なアーティストやジャンルで同様な集計を行っていきたいと思います。