JUJU「六本木心中」のコード進行解析と楽曲の感想


本記事では、2016/9/21発売のJUJUの新曲「六本木心中」のコード進行と、音楽的な解説、および楽曲を聴いた感想を記していきます。

「六本木心中」の概要

本作は、JUJUの32枚目のシングルで、1984年に大ヒットしたアン・ルイスの楽曲のカヴァー作です。カップリングには欧陽菲菲のカヴァーである「ラヴ・イズ・オーヴァー」が収録されます。シングル表題曲でのカヴァー曲としては「BELOVED」「Hello again」以来の3作目となります(カップリング、アルバムも含めば更に多数の曲をカヴァーしています)。

「六本木心中」のコード進行

●イントロ
|Dm|Dm|C/E|〃|B♭/F|〃|Gm|A|
|Dm|Dm|C/E|〃|B♭/F|〃|Gm|A|
|Dm C/D|B♭/D|B♭/D C/D|Dm|
|Dm C/D|B♭/D|B♭/D C/D|Dm|
|C7|C7|C7|C7|

●Aメロ
|Dm|Dm|B♭M7|B♭M7|
|Gm|Em|A|A|
|Dm|Dm|B♭M7|B♭M7|
|Gm|A|Dm|Dm・・G(単音)|

●Bメロ
|A|A・・B♭(単音)|A|A・・G(単音)|
|A・・G(単音)|A・・G(単音)|A|A|

●サビ
|Dm|Dm|C/E|〃|B♭/F|〃|Gm|A|
|Dm|Dm|C/E|〃|B♭/F|〃|Gm|A|

●間奏
|Dm C/D|B♭/D|B♭/D C/D|Dm|
|C7|C7|C7|C7|

イントロ

イントロは、原曲ではシンセのようなキラキラ音があるのですが、JUJUのバージョンでは、その代わりにギターのアルペジオの音が強調されています。また、原曲では「1,2,3,4」と叫ぶように入るのですが、こちらは囁きボイスのような感じで入るといった相違があります。

コード進行はⅥm→Ⅴ/Ⅶ→Ⅳ/Ⅰというパターンですが、ここで注目していただきたいのは、コードそのものルート音はⅥ→Ⅴ→Ⅳと下がっているのに対して、ベース音の方はⅥ→Ⅶ→Ⅰと上がっていることです。

この手法を使っているために、単にⅥm→Ⅴ→Ⅳと推移する楽曲とは大きく異なって聞こえます。これは原曲でも同じです。

イントロ後半ではベース音はずっとDを弾きながら、インパクトのあるシンセの音でDm,C,B♭などのコードを奏でています。このように、この楽曲はベース音を使った分数コードが非常に重要な役割を持っており、分数コードを無視して演奏してしまうと、楽曲の良さが半減されてしまうので注意してください(特にBメロとサビでは重要です)。

なお、楽曲のキーはDマイナーで、楽譜では♭が1つだけついた調性です。

Aメロ

Aメロのコード進行はⅥm→Ⅳで、いわゆる「小室進行」のパターンです。小室進行とはいっても、小室哲哉が発明したわけではなく、現に小室氏が活躍する前に発売された本曲の原作でもこのコード進行です。

Aメロのコード進行で特筆すべき点は、6小節目のEm(Ⅶm)です。このコードは、Ⅶm7-5とほとんど同じような役割(次にⅢを誘導する)を持つのですが、Ⅶmの方は非ダイアトニックコードであるため、よりインパクトが強くなっています。楽器が手元にある方はEm7-5とEm7で弾き比べてみてください。どちらも違和感はないけど、後者の方が強い印象を受けるのではないでしょうか。

Bメロ

ここはコード進行の記載方法を迷った部分です。普通に書けば、全てAしか使っていないのですが、ここではAメロのラストと、Bメロの2,4,5,6小節目の最後で、8分音符3個分の「ジャジャジャ~ン」というベース音が非常に重要になります(ベースと同時にバスドラも同じリズムを弾いています)。

コードの記載をG(単音)等と書いたのは、その部分でストロークをするのではなく、ルート音を強調して弾いてほしいという意味で書いたものです。和音としてのコードは、A(Ⅲ)しかありません。単に同じコードを8小節も続けたら退屈してしまうかもしれませんが、前述した3音のリズムが何度も登場することにより、同じコードでも曲のインパクトが持続するようになっているのです。

サビ

サビはイントロと同じコード進行ですが、ここでもBメロで使われたような、ベース音とドラムによる特徴的なリズムが何ヵ所か存在します(バックコーラスが同時に入る部分です)。そのため、奇数小節目では、前の小節の最後の音から、次の小節のコードを先取りして弾くような感じで演奏すると、本曲のリズム感とマッチするのではないかと思われます。

なお、サビまで聴いた感じでは、細かいアレンジの違いはあれど(全体的に原曲よりも音数が増えた印象です)、コード進行は原曲と全く同じと思われます。

本曲は、前作「What you want」の次にリリースされるシングルですが、前作はどちらかといえば「カワイイ系」「オシャレ系」というイメージを持った楽曲でした。今作はそのようなイメージとは正反対の楽曲であり、どのような楽曲を歌ってもサマになっているというのはさすがだなと感じました。

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