本記事では、2016/10/5発売のSEKAI NO OWARIの新曲「hey ho」のコード譜と、音楽的な解説、および楽曲を聴いた感想を記していきます。
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「hey ho」の概要
本作は、SEKAI NO OWARI名義のCDメディアのシングルとしては、記念すべき10作目のシングルとなります。ここ2作ほど全英語詞が続いており、約2年ぶりの日本語の楽曲です。歌詞の内容としては、ヒット作「RPG」の続編とのことで、曲調においても「RPG」のようなセカオワ「らしさ」が出ている楽曲と言えるでしょう。
「hey ho」のコード進行
●イントロ
|(N.C.)|
|D|×8
●Aメロ
|D|D|G|G|
|A|A|F#m|F#|
|Bm|A#aug|D/A|E/G#|
|Em7|Em7|A|A|
|D|D|G|G|
|A|A|F#m|F#|
|Bm|A#aug|D/A|E/G#|
|Em7|Em7|A|F#|
●Bメロ(1コーラス)
|Bm|G|A|F#7|G|Em|A|F#|
|Bm|G|F#7|Bm A|
|G|G|A|A|F#|F#|
●サビ
|D|D|G|G|
|A|A#dim|Bm|D/A|
|G|F#m|Em|D|C|C|A|A|
|D|D|G|G|
|A|A#dim|Bm|D/A|
|G|F#m|Em|D|C|C|A|A|
●間奏1
|(N.C.)×8|
※Aメロ繰り返し
●Bメロ(2コーラス)
|Bm|G|A|F#7|G|Em|A|F#|
|Bm|G|F#7|Bm A|
|G|G|F#|F#|
●間奏2
|(N.C.)×8|
|D|D|D|A|
|D|D|G A|D|
|D|D|D|A|
|D|D|G A|D|
|(N.C.)|
※サビ繰り返し
●後奏
|D|D|D/E|D/E|
|D/F#|D/F#|G|G|
イントロ
メルヘンな童話の世界が似合いそうなイントロから始まります。コード進行は、リズムがはっきりとする部分から記載しています。そのリズムですが、8分の6拍子の行進曲(マーチ)に分類されるのではないかと思います。マーチで8分の6拍子というと珍しいと思われるかもしれませんが、スーザの「ワシントン・ポスト」や、東京五輪のオリンピックマーチなどの有名曲もこのリズムの行進曲です(なお、8分の6拍子とは、「タタタ」というリズムを1拍と考えて、それが2つで1小節とするリズムの事です。一方、J-POPのほとんどの楽曲では「タタ」で1拍の、4拍子です。4拍子の楽譜だと、本曲のような楽曲は3連符の記号を大量に使わないといけないので、8分の6拍子ないしは12拍子の楽譜を使うのが普通です)。
Aメロ
Aメロも非常にメルヘンチックな部分が続きます。後半(16小節目)で使われている楽器(バグパイプでしょうか?)、そのあとの24小節目あたりから使われている「ポロロン」という音色の響きが素晴らしいですね(楽器の判定は苦手なので、どのような楽器が使われているかまではわかりませんでしたが、ゲーム音楽等でもよく使われている音です)。
ちなみに、本曲のキーはDメジャーで、曲を通して転調はしていません。楽譜だと#が2個の調です。コード進行はD(Ⅰ)→G(Ⅳ)というパターンです。9~12小節目では、ルート音のみが半音ずつ下がるテクニック(クリシェの一種)が使われています。
※2016/10/04追記 MVが公開されました。バグパイプかもしれないと書きましたが、全然違いました。どうやらAメロ後半で存在感を出しているのはバイオリンのようです。バイオリンの音色を外すとはお恥ずかしい限りです。他に、MVで確認できた楽器は、おそらくファゴット、トランペット、鉄琴、アコーディオン、コントラバス、バンジョー、ギター、あとは打楽器です(間違っている可能性もあるのでご了承ください)。近年の楽曲ではこういった構成の楽曲が少ないので、とても新鮮です。
Bメロ
メルヘンチックな雰囲気はそのままで、コードではB(Ⅵ)m→G(Ⅳ)という「小室進行」が使われています。サビ前は、G(Ⅳ)→A(Ⅴ)→F#(Ⅲ)という進行ですが、2コーラスではG(Ⅳ)→F#(Ⅲ)というように、ドミナントのⅤが省略されています。いずれにせよサビの直前のコード進行はⅢというコードで、これは、一般にはB(Ⅵ)mかG(Ⅳ)から始まるコード進行を誘導することが多いのですが、本曲では次のサビでD(Ⅰ)を誘導しており、ⅢからⅠへ推移する進行は、比較的珍しいと思います。
サビ~
「Hey Ho!」という威勢のよく、シャウトのようなコーラスもあるフレーズでサビが始まります。この部分のコード進行はD(Ⅰ)→G(Ⅳ)→A(Ⅴ)→A#(Ⅴ#)dimで、ジャンルを問わず非常に多くの楽曲に使われているコード進行ですが、SEKAI NO OWARIのシングル曲のサビに関していえば、この進行は本曲が初だと思います(セカオワの楽曲はカノン進行系のコードが多いです)。A#dimの部分はノンダイアトニックコードの切ない感覚を味わうことができます(F#7でも代用可能です)。
2コーラスのサビのあとの間奏では、リズムが一時的に4拍子(もしくは2拍子)になっています。この間奏はケルト音楽とマーチを足したようなノリの良い曲調で個人的に好みの部分です。
セカオワの他の楽曲にも言えることですが、コード進行やメロディーはそれほど特異なものではないにもかかわらず、アレンジは他のアーティストではめったに使われないようなリズムや楽器が多く、とても新鮮な響きがある一曲です。